大阪市天王寺区・西区の
児童発達支援・生活介護「スバコ」

 脳は永らく未知の器官でした。
エジプト文明が栄えていた頃、脳は鼻水を作る器官と考えられていた、なんて話もあります。
それぐらい、どんな働きをしているのかわからない、謎の器官だったのです。

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 しかし、現代では、医学のみならずさまざまな学問が発達し、医療機器の発展も相まって、
脳のどこが、どのように働いているかが少しずつ明らかにされてきました。
その中でも、前頭前皮質という部分に感情を抑えて理性的に行動するための機能として
「実行機能」というものがあるということがわかってきました。

 では、この「実行機能」はどんな働きをしているのでしょう?

たとえば、人間は、料理をしたり、片付けをしたり、宿題をしたりと、
日常生活の中でさまざまな活動をしています。
実行機能は、このさまざまな活動を行う時に必要な、

取り掛かる、段取りをする、集中する、最後までやる

という部分に関わっているのです。

 もちろん、これだけではありません。
たとえば、料理をしている時に電話が鳴ったら手を止めて電話に出ることもあるでしょう。
このように、

行動を切り替えることや、

あるいは、

電話が鳴っていることに反応せずに

味付けをするという目的の行動を取ることも実行機能の働きなのです。

まとめていえば、
実行機能とは、「目標に向けて気持ちや行動をコントロールする能力」と言えそうです。

 この実行機能が上手く働いていないと、

電話でおしゃべりしている間もお鍋を火にかけたまま、
甘すぎたり辛すぎるおかずができてしまうかもしれませんね。

 お子さまなら、
机の上がいつも散らかって宿題をしていたはずなのにいつの間にかテレビに夢中、
お手伝いして欲しいのに声をかけても返事がない、
上手くいかなくて「や〜めた!」なんてことがありそうですね。

 これだと、見ている方がイライラしてしまいます。
でも、周囲から見たらやる気がないように映るのかもしれませんが、
これは無意識的に行ってしまうことで、むしろ取り掛かることに強い困難を抱えていて、
「わかっていてもできない」という苦しさを抱えていることが多いのです。

 subaco switchでは、このようなお困りごとに応えるべく、
実行機能のトレーニングを行っています。

音の認識を高める:「これな〜んだ?」

読み書きの習得に先立って、重要となるのが「音韻認識」です。これは、文章や単語を構成する「音」を認識し、「音」が組み合わさることよって単語や文章が出来ていることを理解する力です。例えば、「りんご」という音の連続が、「り」「ん」「ご」という3つの語音、配列で構成されているということが分かるということです。音を分解し、1つずつの語音を捉えることが難しい児童と取り組んでいるのが、このレッスンです。

学習支援の教材ってどういうものなの?

iPad上には何やら3つの再生ボタンが!順番に押してみましょう♪
「み!」・・・「か!」・・・「ん!」・・・・・・・
「み、、みか、、?」「あ!みかんだ!!」
そのとおり、大正解◎

見る力を高める:「ニセモノはどれだ!」

ひらがなや漢字が正確に覚えられない、読めるけど書けない、似た文字の読み間違えが多いなど、文字の習得に困難さを抱えている児童がいます。難しさの原因の1つとして、細部を見ていく力、見たものを分析していく力に弱さがあることが考えられます。そんな児童と取り組んでいるのがこのレッスンです。

学習支援の教材ってどういうものなの?

同じ文字ばっかり並んでいると思いきや…!?
この中にはニセモノがたくさん隠れているぞ!
◯◯おまわりさん、捕まえてきて!
ん?ホンモノとニセモノ、
どうやって見分けたらいいのかって?

そんな時にはコレだ!!
本物が描かれた透明カード!

迷った時にはこれを当ててみると違いがわかるかも…!?
◯◯くん、よろしく頼んだ!

感覚統合療法とは?

感覚統合療法とは、アメリカの作業療法士のエアーズ(Ayres,A.J)さんが考案したリハビリテーション方法の1つです。遊びや運動を通して様々な感覚刺激を提供することで、脳が熟成するように働きかけ、それらの感覚を意識し、自覚させることで統合(その感覚を恐れたり、圧倒されたり、振り回されたりせず、ひとまとまりの「体験」として意識でき、記憶に刻むこと。またその結果、運動をコントロールできるようになること。)を促し、適応させていく療育方法です。

感覚統合とは?

人は様々な感覚情報(触覚・固有受容覚・視覚・聴覚・前庭感覚≒平衡感覚など)を脳(及び脊髄)で処理し活動を行っています。

感覚統合療法って何?

例えば、公園でブランコをこいでいる時、ブランコの座面にお尻が当たる感覚(触覚)、顔や手足に当たる風(皮膚の触覚、毛根触覚)、ブランコを漕ごうとした時の、筋肉の動きや関節が動いている感覚(固有受容覚)、ブランコが揺れる感覚(前庭感覚)、また揺れた時の周りの景色の動き方(視覚)、チェーンが擦れる音や周囲の騒音(聴覚)などの多種多様な感覚情報が中枢神経に向かって押し寄せているのですが、それら全てに意識を集中させると、ブランコを漕ぐどころではなくなり、動作を停止せざるを得なくなるでしょう。

人は経験に伴って、その時に必要のない感覚情報をあまり感じないように抑制させたり、逆に、必要な感覚情報にスポットを当て敏感に感じ取れるようにするという機能が発達します。この機能のおかげで脳への負担が減り、目的にかなった行動をとることが可能になるのです。

つまり、感覚統合とは人間が自分の身体や環境からの感覚情報(刺激)を整える為の神経学的過程であり、環境の中で自分の身体を有効に使うことを可能にする。それが「感覚統合療法」の本質です。

 おそらく現在、人体を構成する組織の中で「脳と神経」ほど
多方面の学問分野から注目されている臓器はないでしょう。

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・ 細胞レベルでの物理的な働きを解明してきた「生理学」(<基礎医学<医学)*1

・機能別に分類されたシステムとして「神経系」をとらえ、疾病を理解しようとする
 「神経学」(<内科学<医学)。

・高次脳機能(≒認知機能)*2

を分類し、それぞれの機能を、機能局在間のネットワークとしてとらえ、

情報処理過程の詳細を解明し、
人間の認知機能の実態とそれに基づいた行動を理解しようとする「認知心理学」(<心理学←哲学)。

その他、発達心理学、社会心理学など、人間とその集団を経験科学として解明、説明しようとする「心理学」。
< *1 カッコ内:下位分類<上位分類←由来   *2 ≒ほぼ同義>

 上記のように「脳と神経」の働きに関しては理科系、文科系をまたいで世界中で研究されていますが、これら全てを含んだ総称として「神経科学」と呼んでいるようです。

 

 特に近年、「神経科学」は脳の奥深くの血流動態をとらえ、視覚化できるfunctional-MRIやPETなどの脳機能イメージング技術の進歩や、基礎研究においては光遺伝学などの画期的な実験手法の開発等により、これまで手をつけることができなかった部分の研究が一気に進んでいます。

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また、人間の脳で実行されている情報処理とコンピューターにおける情報処理過程には共通点も多く、人工知能(A.I)開発者など工学系の人材が人間の脳の情報処理過程の解明にこぞって参入していることもあいまって、「脳科学」「神経科学」花盛りといった様相を呈しています。

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 人文学など、人間の心と行動、あるいは精神性、社会性といった分野を対象とする人文系学問に於いても脳機能と関連付けた新しい意味づけがなされたり、文化や芸術、宗教といった自然科学とは別次元で成立している人間の営みも、高次脳機能との関連のなかで、自然科学的、神経科学的な解釈を加える作業がなされています。

 教育、保育の分野においても「神経科学」で得られた知見を取り入れた新しい試みがなされており、私たちsubacoでも常に新しい知識を取り入れた療育を実践しています。