大阪市天王寺区・西区の
児童発達支援・生活介護「スバコ」

《2018年8月号》靱だより「ぼくはできるんだ!」他


暦の上では秋ですが、まだまだ暑い日が続いていますね。
季節の変わり目ですので、体調を崩されないようお気をつけてお過ごしください!! 

subaco switch

「ぼくはできるんだ!」

 subaco switchに通うTくんは、公園で遊ぶことが大好きな男の子です。
 この夏は日に日に肌も焼けて、夏を感じさせてくれました。そんなTくんには少し苦手な事があるそうです。それは ・・・「座って待つこと」です。

 Tくんに「座って待っていてね」と伝えても物音や気になる物を見つけると、ついつい反応してしまい約束を忘れて立ち上がって、気になった物の方へと動いてしまうのです。 

 なぜTくんは、すぐに立ち上がってしまうのでしょうか?
 まずは、Tくんの認知発達のレベルを調べる為に検査を実施しました。検査の結果から、Tくんは【シンボル機能の芽生えの段階】であることが分かってきました。これは、直接目には見えない物事を頭の中でイメージをしたり、理解するのに必要な段階になります。Tくんは言葉やイメージを使ったコミュニーケーションやルール、物事の正しい理解にまだ難しさがあることが分かってきました。
 このことから「座る・待つ」といった言語指示のみではまだ理解が難しく、座り続ける事に課題が生じているのではないかと考え、今回はTくんと一緒に、砂時計と報酬を使ったレッスンを行いました。
 
 このレッスンでは、お母さんを待つ間は、Tくんに砂時計を見ながら待って貰います。待てたらご褒美があることをあらかじめ伝えたところで、レッスン開始です!砂時計に意識を向けることで、他の刺激からの反応を抑える事ができ少しずつ待つことが出来るようになってきたTくん。
 経験を積むうちに見通しを持って待つことができるようになり「座れた!」「出来たらご褒美が貰えるんだ!」と自己認識も高まってきました。
 
 今では、お母さんがお迎えに来ると満面の笑みを浮かべながら「できた!」と嬉しそうなTくん。
 その笑顔の中には、お母さんに会えた喜びと、待つことが出来たという2つの喜びがあったのですね☆

 これからもたくさんの笑顔を見せてね♪ (尾野咲音)

 

 

subaco kids

「金魚すくい」

 皆さんは夏といえば何を思い浮かべるでしょうか?
 私は小さい頃に家族で行った花火大会で、スーパーボール掬いや金魚掬いによく挑戦していました。しかし中々上手く掬えず、悔しい思いをしたことを今でも鮮明に覚えています。

 この夏、subaco kids靭公園でも特別プログラムとして、金魚掬いを実施しました。子ども達も沢山掬おうと、奮闘してくれます。しかし、上手く掬うことができずポイに穴があいてしまい、悔しそうな表情をする子ども達も沢山くさんいました。

 金魚を上手にすくうために重要な機能の1つに『 運動調節機能 』という小脳の働きがあります。運動調節機能とは、固有受容感覚(筋肉の動きや関節の動きを感じ取る感覚)の情報をもとに、運動をコントロールする機能のことをいいます。
 私たちは無意識のうちに、真っ直ぐ姿勢を保ちながら歩いたり、適切な力加減で鉛筆を把持したりと場面に応じて身体を操作したり力の調節を行っています。  

 今回の金魚掬いでは、ポイにかかる水圧の変化を固有受容感覚から感じ取り、ポイが破けないように適切に操作して、運動を意識的にコントロールすることで運動調節機能にアプローチを行いました。
 また、ある程度水圧を感じられるよう、使用するポイには厚めの紙を使用しています。初めは上手く掬えず悔しそうな顔をしていた子ども達も、段々と上手に運動を調節することが出来るようになってきました!掬える金魚の数が増えてくると、子ども達も次第に笑顔で活動に参加してくれていました。中には「20個も取れたで!」と嬉しそうに報告してくれる子もいました!
夏祭りでは本物の金魚もすくえたかな??(河口知美)

subaco study

「見て、ぼくのおなまえ・・・かけたよ!!」 

 夏休みも終わりいよいよ2学期が始まりますね。
 subaco study靱公園には、4月に小学校に入学し初めての夏休みを迎えた子ども達が沢山いました。

 Rくんもそのひとりです。「今日は、ポケモンのぬりえどれにしようかな…」と、いつも大好きなぬりえから活動が始まる1年生です。

 そんなRくんには苦手なことがあります。それは「ひらがなをかくこと」です。1年生になって、ひらがなを習い始めましたが、自分の名前を書くのに苦戦しているRくん。
 実は、文字を書けるようになるには、形そのものを捉えていく「形態認知機能」と、1画1画の位置や向きなどを捉える「空間認知機能」などが必要であると言われています。
 
 そこで、Rくんの課題を調べる為に検査を実施しました。直線や斜線が混ざった形を作る検査 では、直線のみで出来た形は直ぐに作ることができたのですが、斜線が加わった形になると、急に手が止まってしまいました。様々な検査を実施した結果から、Rくんは「空間認知機能」に難しさがあることが分かってきました。

 そこで今回は、「ぎゅぎゅっと作ってみよう」というレッスンを行いました。
 ぎゅっと固まる砂を使って、見本を見ながら色々な斜線や曲を作っていきます。初めは「わからん…」と悩んでいたRくんですが、見本の形を何度も触りながら向きを確認していくうちに「わかった!!こっち向きだね!」と曲線や斜線の向きを捉えることが出来るようになってきました。
 「さぁ次は、字を実際に書いてみよう!」お手本を見ながら「まっすぐして…みぎにぐる〜っとして…見てみて、かけた!」そう言って、見せてくれたのはなんとRくんのお名前です。
 
上手に書けるようになったね!やったねRくん!!(上田千晶)

 

 

すばこだより 8月発行号(PDF版) 

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