《2018年5月号》靱だより「おいしいアイスクリーム!はい、どうぞ」他
あじさいの花の色もきれいに色づいてきましたね。早いもので新年度がはじまり2ヶ月が過ぎようとしています。そろそろ新しい環境にも慣れてきた頃でしょうか?天候がくずれやすいこの時期は、体調もくずれやすい時期でもあります。
subaco study
「おいしいアイスクリーム!はい、どうぞ」
Sさんはお話が大好きな女の子。今日あったことや今好きな遊びのことなど、元気いっぱいお話ししてくれます。そんなSさんと、お絵かきをしていたときのことです。「アイスは・・しかく!」とSさんが見せてくれた絵には、大きな三角コーンにのったアイスクリームの絵が描いてありました。そこで、Sさんに○や△、□のかたちを見せ、確認をしてみると・・・三角形と四角形の認識が逆になっていることが分かりました。
なぜ、間違えてしまうのか、その理由を探るために『太田ステージ』と言う検査を行ないました。これは、子どもの認知発達を図る検査でSさんは、『シンボル機能』が獲得され始めている段階だと言うことが分かりました。
『シンボル機能』とは、具体的な事象を別の物で代表したもので一つが「名前」です。Sさんは、たくさんのシンボルを獲得していますが、形のシンボルはまだ獲得されていなかったのです。
そこで、Sさんと行なったレッスンは、『レッツ!クッキング!』です。『おにぎりは△』『おうちは△と□』など絵の中から〇△□を探していきます。身近にあるものから形を示していくことで、かたちをイメージしやすくなったSさん。「あっ、さんかくあった!!」とレッスン以外でも、見つけて教えてくれるようになってきました。最近、Sさんが作ってくれたのが、アイスクリームです。トレーナーが「このかたちなあに?」とアイスクリームのコーンを指して聞くと「さんかく!」満面の笑みで答えてくれたSさん。
おいしいアイスクリーム、つくれたね。(上田 千晶)
subaco kids
「みんなと走ろう!」
Nさんはお友達と遊ぶことが大好きです。subaco kids靱公園でもお友達と元気に活動しています。お友達と走っている姿を見ていると…あれあれ?なんだか走り方がぎこちなくすぐに転んでしまいます。どうしてそうなるのでしょうか?
よく見るとNさんは手をバンザイして、足を軽く左右に開きバタバタと走っていました。トレーナーは、バランスを取ることが難しいために体を支える面積(支持基底面)を広くし、手を広げることでバランスを取っているのではないかと考えました。
そこでパラシュート反射という、体の傾きに即座に反応し、転んだ時とっさに手を付いて身体を守るといった行動が出来るようになるための姿勢反射を確認しました。体を持ち上げ前後左右に傾けても、体の横に手があり反射が出現する様子はありませんでした。そのことから中脳の発達が未熟で身体の平衡や姿勢の保持が難しいと考えました。
そこでトレーナーはバランスディスクやブランコを使用したレッスンをたくさん行いました。これらのレッスンには前庭感覚(揺れや傾きを感じる感覚)や固有受容覚(筋肉や関節の角度を感じる感覚)がたくさん含まれています。これらの感覚は体性感覚といい、運動と深い関係があるのです。私たちの周りには様々な刺激が満ちており、感覚から刺激を感じ取り「これ以上傾いたら転けてしまうぞ!力を入れて踏ん張らなくちゃ」というように運動とリンクさせていくことが必要なのです。そしてとうとう平均台も渡れるくらいバランスが取れるようになりました。
Nさん!これからも元気一杯遊ぼうねp(^_^)q(古川 靖子)
subaco switch
「安全に渡り隊!」
Kくんは小学一年生の元気いっぱいな男の子。いつも色んな遊びを発明して私達に教えてくれます。
そんなKくんですが、お母さんは心配な事があるそうです。それは、道路への飛び出しです。一体どのような時に飛び出してしまうのか様子を見るために、Kくんとトレーナーは靱公園まで散歩に行ってみました。するとKくん、いつものように発明した遊びについてたくさんお話してくれるのですが、夢中になりすぎて、左右の安全確認をせずに道路を渡ってしまいそうになりました。
どうやらKくんは、一つのことに意識が向くと、周りが見えにくくなってしまうようです。このように、複数のことに同時に意識を向ける機能を“配分性注意機能”といいます。
そこで今回はこの”配分性注意機能”に着目し、「安全に渡り隊」という活動を行いました。まずトレーナーは、subaco switchのお部屋に大きな交差点を作りました。車がビュンビュン通っています。確認をせず渡ってしまうと大変危険です。「あぶなーい!!」スバコ交差点では事故が多発してしまうので、K君には警察官に大変身してもらい、歩行者の安全を守ってもらうことにしました。
警察官は危険な横断を見逃しません。「ピーピー!赤信号ですよ!」信号は青か、車や自転車、歩行者がいないかなど複数の事に注意を向けなければなりません。歩行者役のトレーナーは、K君と同じ様にお話をしながら安全確認をせずに道路を渡ってみました。するとKくん「そこ、右から車が来ていますよ!」と周りの危険にも気づいて教えてくれました。次はKくんが歩行者役です。「大丈夫、大丈夫」と言っていたKくんですが、交差点に差し掛かると、「青信号、右、左。よし行こう!」と確認しながら安全に渡りきることが出来ました。
Kくん、これで安全に渡り隊の一員だね♪(尾野 咲音)
すばこだより 5月発行号(PDF版)
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