【2017年4月号】すばこだより 「料理に集中!!」他
日に日に春めいて、木々の緑も一段と深さを増してきました。早いもので4月も終盤。ゴールデンウィークを目の前に、子ども達もワクワクしているのではないでしょうか。subacoでも祝日ならではの取り組みをご用意しています。5月も楽しくレッスンに取り組んで行きましょう。
switch
「料理に集中!!」
早いもので4月も終わりに差し掛かり、間も無くゴールデンウィークが始まろうとしています。subacoでは祝日営業を行なっており、毎回祝日ならではの特別プログラムを行っています。今回はそのひとつとして、昼食作りの活動をご紹介します。今回のメニューはズバリ焼きそば。焼きそば作りの中で、どのようなアプローチが行われているのでしょうか。少し覗いてみましょう。
①もやしの根取り
ひとつの事に注意を向け続ける「持続性注意」に対するアプローチです。さっと洗ったもやしを一本ずつ手に取り、指でひげ根の部分を取り除いていくという単純な作業を繰り返し行います。とても時間のかかる作業ですが、このひと手間でもやしの口当たりが大きく変わってくるのです。途中で面倒になってしまい、思わずやめてしまいそうになるのですが、「おいしい焼きそばをつくるため」という目標が、脳の「報酬系」という部分に作用することで、作業をするという行動を強化します。みんなで最後まで協力し、ボール一杯に入ったもやしの根を全て取り除くことができました。
②こぼさず注意
焼きそばが焼きあがり、いよいよ盛りつけ作業です。ところがせっかくの焼きそばが、ホットプレートからお皿に運ばれる間に、ポロポロとこぼれ落ちてしまいます。他の刺激に反応せずに、必要な事のみに注意を向けるはたらきを「選択性注意」と呼ぶのですが、どうやらお友達の話や他のことが気になってしまうと、焼きそばを運ぶことにうまく注意が向けられなくなる児童がいるようです。こぼさずに焼きそばを盛りつけられるように、トレーナーが指さしをすることで焼きそばに注意を向けやすくしたり、「集中!」と声かけして、他の刺激に注意がそれそうになったときに戻すという経験をしてもらいました。

それぞれが役割を持っておいしい焼きそばを完成させ、見事にホットプレートの上も空っぽになりました。いつもの昼食も、自分達で作るとやはりまた格別だったようです。一見するとなんでもない料理のひとコマでも、注意のコントロールの観点からアプローチすることができます。次回のプログラムにもご期待くださいね。(重松)
training
「どこまでも行こう」
だんだんと暖かくなり外にでるのが楽しみな季節になりました。トレーニングのメンバーも休日にはおでかけを楽しんでいます。
Nさんも銭湯に行って大きなお風呂に浸かったり、電車で出かけることが楽しみでしたが、去年足を骨折し入院していました。手術を行い無事に退院できましたが、「歩くと足が痛い」と運動の機会が少なくなってしまいました。以前はキャッチボールをしたり、外へ散歩に行ったりと活動していたNさんもなかなかやる気がでない様子でした。
その時のNさんは医師に「歩いたほうがいい」と言われても、痛みから歩く事に不安を感じている様子でした。そこでNさんの「電車に乗る事が好き」という事に着目しました。トレッドミルをしながらNさんの好きな電車の動画を見て、車窓から流れる風景を眺めている気分で歩くことにしました。初めは数駅しか通過することができませんでしたが、だんだん駅数が増えていきました。

この頃には、Nさん自ら「今日も歩きます」という声が聞けるようになりました。歩くことが楽しみになり、続けるうちに歩ける距離も長くなってきました。そしてNさんは「トレッドミル時速3kmで20分間歩く」という目標を達成することが出来ました。距離にすると1kmですがNさんにとってはどこまでも行けるような気持ちになったようで、今では「花見にいきましょうか」「銭湯にいきたいですね」と笑顔で誘ってくれるようになりました。爽やかな風を感じながら、色んな所に行きましょうね。(青木)
kids
「ブランコ」
今回は、ブランコを取り入れた活動をご紹介したいと思います。ブランコといえば公園にあるイメージですが、スバコには円盤型やタイヤ型など様々な種類のブランコがあります。ブランコのようにゆらゆらと揺れたり、ぐるぐる回ったりする感覚(前庭感覚)に着目したkidsでの取り組みをご紹介します。
「ぐらぐら橋を渡ろう」
児童の中には揺れる感覚(前庭感覚)を怖がり、一人でブランコに乗ることが苦手な子もいます。
そのような子の場合は、図のようにぐらぐら揺れるディジョックボードの上を歩く中で、ボールをタッチしたり、興味のあるものを取る活動を行います。ブランコよりも刺激が小さく、かつ能動的に前庭覚刺激を得ることが出来るので、少しずつ楽しみながら揺れる感覚に慣れていくことができます。自宅であれば、バランスディスク上で風船バレーやボール投げなどをしてみてもいいですね。
ぐらぐらぐら、よしっ、ゴールまであと少しだ!!

「ブランコシュート」
円盤型のブランコを取り入れた活動です。ブランコにうつ伏せ(腹臥位)に乗り、カゴに向かってボールを投げ入れる活動です。

顔をあげて、重力に逆らいながらボールを投げ入れることで「抗重力伸展姿勢」を保持する経験を得ることができ、立位などの姿勢保持に関する力を高めることにつながります。また、揺れる感覚(前庭覚)とボールを投げる力加減に関わる感覚(固有受容覚)を同時に取り入れることで、「シークエンス行為機能」を高めるとともに、目と手の協応や空間認知機能を高める目的としても行っています。
さあ、今日は何ゴール決められるかな?(松野)
study
「みて!みて!ぼくの名前」
暖かな春の陽気と共に、新年度がスタートしました。新しい環境にドキドキ・ワクワクしながらも、また1つお兄さん・お姉さんになって、キラキラした表情をしています。そんな児童の表情が、よりキラキラと輝いた時がありました。
Y君が「自分の名前をひらがなで書けるようになる」という目標を達成することが出来たのです。Y君は、いつもトレードマークのキャップを被り、何事にも積極的で元気いっぱいな5歳の男の子です。
そんなY君が、消極的になってしまうことがあるのです。それは、ひらがなで名前の「た」を書くときです。
実際に書いてもらうと、右側の「ニ」が左側の「|」にくっついてしまいます。
読むことは出来るのに、なぜでしょう?
そこでトレーナーは、線の構成やバランスを捉える機能の空間的認知が苦手なのではないかと考え、フロスティッグ視知覚機能検査を行いました。
すると、見本をみて、同じように線をつなぐ空間関係の課題において少し難しさがあることが分かりました。
そこでトレーナーが考えたおしごとは、「警察官に変身」です。
Y君に警察官へ変身してもらい、「た」の左右の間に立ち入り禁止のテープを貼って交通整理をするお仕事です。「|」と「ニ」の交通整理をして「ニ」がテープより左側に入らないようにして空間における位置関係を意識してもらうことが目的です。

おしごとを通して「|」と「ニ」の位置関係を掴んだY君は、ついに名前を書くことが出来ました。書いた瞬間、「これは合格やな。」と、とてもキラキラした表情を見せてくれました。目標達成の表彰式を終えると、「今度は苗字を書けるようになる!!!」と意気込んでいました。これからも様々なレッスンを行い、できることを増やしていこうね。(仮屋)
お知らせ
5月のsubaco holidayは、20日、27日の三日間を予定しています。新しく利用をご希望される方に関しては契約手続きが必要となります。お気軽にお問い合わせください。
すばこだより平成29年4月号 (PDF版)
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