大阪市天王寺区・西区の
児童発達支援・生活介護「スバコ」

【2016年11月号】すばこだより 「嫌だ!を消しちゃう合言葉」他


 落ち葉が風に舞う季節となりました。日増しに寒さが厳しくなっていますが、皆様体調等崩されていませんでしょうか?

今月は、ついに< study靭公園>も開所となり、ますます賑やかなsubacoです♪

やっと?あっと言う間に?今年も残す所約1ヶ月半となりました。よい1年の締めくくりができるように、来月も駆け抜けましょう!

subaco switch

「嫌だ!を消しちゃう合言葉」

 KAPLA(カプラ)はフランス生まれの積み木で細長くて軽いところが特徴です。建物や乗り物、動物まで作れる魔法の積み木とも呼ばれています。小学1年生のYくんはswitchにあるKAPLAが大のお気に入りです。Yくんは、KAPLAを使って高速道路やビルを作って「ここは料金所!」「ここが入り口だよ!」と嬉しそうに教えてくれます。そんな楽しい時間にも終わりが来ます。トレーナーの「帰る時間だよ」に「えー!いやだー!」とYくんは、大きな声で叫びます。帰る時間になってもなかなかKAPLAを止めることが出来ません。

switch

 楽しいことはいつまでもやっていたいのは大人でも同じです。「このまま時間が止まればいいのにな」なんて考えたことありますよね。こんな時「楽しいことを続けていたいけど、終わりにしよう」と考え行動することが出来るのは脳の前頭前野と呼ばれる場所が大きく関わっています。前頭前野は「脳の司令塔」とも呼ばれ、思考や意欲・理性・感情のコントロールを担っています。これに対して「もっと遊んでいたいよ!」「嫌だ!」「楽しい」「嬉しい」というように「快・不快」を感じる時には大脳辺縁系と呼ばれる場所が活発に働いています。Yくんも帰りたくないと不快な気持ちになっているのかもしれません。

 そこで、トレーナーはYくんが「嫌だ!帰りたくない!」と感情的になってしまう前に提案します。「帰りたくない、嫌だ!ってなった時はどうする?」

するとY君「カップリプー!!って言う」とおまじないを考えたようです。このように「もしこうなったらどうする」と考える・計画することは「if then plan」と呼ばれています。これは大脳辺縁系が優位に働いてしまう前に前頭前野を働かせて行動を調整しようとするものです。

「さぁ、KAPLAはおしまいだよ。帰る時間になったよ」「カップリプー。でもまだやりたい!カップリプー!!…もう帰るもんねー!」

Yくんのおまじないは「嫌だ」を消しちゃう魔法の合言葉!魔法の言葉で「出来た!」をたくさん積み上げようね♪(有馬)

 

subaco training

「あふれる思いを伝えたい」

 風も冷たくなり、冬の気配が強くなってきました。しかし、トレーニングのメンバーは毎日元気に通所されます!

 障がい者居宅介護従業者基礎研修で講師を務めるHさんも、日々trainingに通いながら、トレーニングに励みつつ研修の準備を進めています。

training

 今回の研修で、Hさんは「講師として参加するからには利用者としての立場でしかわからないことを伝えたい」という思いがあります。利用者としての立場でしかわからないこと…その中でも、自分の身体が不便なことや障がいを持つ人の気持ちについて研修を通して学んでほしいと話しています。「伝えることって難しい」というHさんは、どうしたら自分の思いや気持ちが伝わるかを考え、話す練習やiPadに資料を準備しようかなど伝える方法をどんどん具体的にしています。内容も自分の身体のことだけでなく、自分がどのような環境で生活しているかについても伝えられるようICF(国際生活機能分類)を使って整理を進めています。Hさんは講師という役割を果たそうと、自分の障がいだけを知ってもらうだけでなく、自分の人生そのものを知ってもらいたいと熱く燃えているのです。

あふれる思いを言葉にして伝えるために一歩ずつ一緒に進んでいきましょう。(青木)

 

subaco kids

細い道でもへっちゃらよ!

 Mさんは明るく笑顔がすてきな3歳の女の子です。かけっこやトランポリンが大好きで元気いっぱいに遊んでいます。しかし、歩いているときや大好きな追いかけっこをするときにこけてしまい、痛い思いをしてしまうことが多いようです。Mさんが痛い思いをせずに歩いたりかけっこをするためにはどうすればいいのかを、Mさんの歩行から考えてみました。

 Mさんの歩行を見てみると、足を上げて進むのではなく、足を肩幅に開いたまま身体を左右に振ることで足を前に出していました。そこで、足を1歩ずつ前に出して進む必要がある平均台にもチャレンジしてみました。20センチ幅の平均台は両足を揃えながら少しずつ進み渡りきることができました。しかし、10センチ幅の平均台では1歩目は台に足を乗せますが2歩目の足を前に出す際に台から足を降ろしてしまいました。そこで目標を「10センチ幅の平均台を渡りきる」ということに設定しました。

 Mさんの平均台歩行の様子から、身体を動すときや姿勢が崩れたときに、腹筋や背筋などの体幹筋の働きによって姿勢を戻す、(姿勢反応)が十分に働かず、歩行時にバランスが取りにくくなっているのではないかと考えました。そこで、バランスボールに座ってもらい姿勢反応の検査を行いました。Mさんがバランスボールに座りトレーナーが骨盤を支えながら前後左右へ揺すります。骨盤を小さくゆすると、Mさんは倒れずにバランスをとることができました。しかし、大きく骨盤をゆすると、Mさんはバランスをとることができずそのまま倒れてしまいました。検査の結果から、Mさんは姿勢反応が十分に働かず、姿勢を戻すことに難しさがあったようです。

 そこで、姿勢反応の促通と体幹筋の筋力を高めるために、「ガラガラタクシー」というレッスンを行いました。

kids

スクーターボード(上図)という4つの駒がついた台車を押しながら歩く活動なのですが、姿勢反応が上手くできないとボードにおいていかれて、こけてしまいます。最初は、重石の代わりにトレーナーがお客さんになり目的地まで押してもらいます。トレーナーを安全に送り届けることができたMさんは、次はぬいぐるみさんを運んであげます。トレーナーを運ぶときよりもスピードが出ますが、Mさんはこけずに目的地までぬいぐるみさんを運んであげることができました。

 今では、少しずつ10センチの平均台でも渡りきることができるようになってきました。「細い道でもへっちゃらよ!」と笑顔で歩けるようになった時、大好きな追いかけっこでお友達をつかまえよう!その時が楽しみだね!^o^(松野)

 

subaco study

「駅名、僕が教えてあげるよ!」

 Y君は幼稚園に通う5歳の男の子です。電車がとても大好きで「○○線を走っている電車は、○○」と電車のことなら何でもおまかせのY君です。

そんなY君は、来年の小学校入学に向けて、読めるようになったひらがな50音を今度は書けるようにと取り組んでいます。Y君は、お手本を見ながらであればなんとか字を完成させることができますが、何も見ないで書くとなると「わからないよー」と一気に諦めモードに・・・。

 文字を書くに当たり1番初めの段階は「運動模倣」といわれており、字を書く過程、つまり「動き」から書く事を学んでいきます。トレーナーはYくんの文字を書く様子から、視覚に頼って字を書いており、運動として捉えることが難しいのではないかと考えました。

 そこでY君には、空中に文字を書いてもらう空書きを行ってもらいました。お手本を見ながらだと書ける「あ」を書こうと挑戦したY君でしたが、空書きでは書けず「わからないー!」と止めてしまいました。やはり、運筆に必要な運動に難しさがあったようです。Y君の課題が分かったところでレッスンです。トレーナーは、「さわって、なぞって、何でしょう」というレッスンを考えました。

 このレッスンではカラーモールで作ったひらがなの文字を目を閉じてY君になぞってもらいます。こうすることで、視覚情報を制限し、動きとして文字を捉えることを促します。初めは、書き出し方が分からずモールから離れた位置に人差し指を置いて動きが止まっていました。しかし、ここからだよとトレーナーがY君の人差し指をモールの上に置くと、1画目、2画目となぞることができました。何度か繰り返していると、次第に手の動きもスムーズになってきました。

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 始めた当初は「何て書いてるんやろ」と言っていたY君も、今では「これは・・・あ!」と目を閉じながらでも答えられるようになり、お手本を見なくても書けるひらがなが増えてきました。50音を書けたなら、世界中の駅の名前を書けるね!自分が作った路線図に電車を走らせたらきっとどこまでも行けるよ!50音が書けるまであと少し、一緒にがんばろうねY君!(飯田)

 

お知らせ

12月のsubaco holiday は第2・4土曜日の開催となります。楽しいプログラム盛りだくさんでお待ちしています!ぜひご利用くださいね◎