大阪市天王寺区・西区の
児童発達支援・生活介護「スバコ」

【2017年5月号】すばこだより 「負けたり勝ったり」他


日中は汗ばむ程の陽気が続いていますが皆様いかがお過ごしでしょうか。今年も梅雨入りの時期となり、毎日天気予報が気になりますね。雨にも負けず元気にレッスンしていきましょう!

 

switch

負けたり勝ったり」

Mくんは今年で6歳になる男の子です。人形やロボットを戦わせるごっこ遊びが大好きです。「いくぞ!」「やめろー」「やられた!悔しいー!」と1人で2役3役もこなし、ストーリーを展開させて遊びます。そんな戦いごっこが好きなMくん、実は勝ち負けのある遊びが苦手で負けることが大きらい…お友達と遊んでいても自分が負けると分かると、大きな声で怒ったり泣いたりしてみんなの遊びを中断させてしまうことがあるようです。頑張ったからこそ負けるって本当に悔しいものですが、遊びには勝ち負けはつきものです。負けるたびに大泣きしているようでは本人も周りも疲れてしまいますよね。

 switchでは取り組みを始める前に、こんな提案をしてみました。「積み木の積み上げ競争で負けても怒らなかったらお菓子が貰えるよ。」Mくんはお菓子を楽しみに取り組みを始めました。ですが、いざ負けるとなると「お菓子なんてもういらない!!」と怒り泣いてしまいました。今回は、お菓子というご褒美が先にあっても、感情を抑えることが難しいのはなぜかを調べるために検査を行いました。すると、「転換性注意」と呼ばれる“目標をやり遂げるために必要に応じて意識を別のものに向ける”機能に課題があることが分かってきました。

そこで活動部屋の壁に「まけてもおこらない」と書かれた紙を貼ってアプローチを行いました。競争をしている最中に“怒らなかったら、ご褒美があるんだ”ということに意識を向けやすくするための環境設定です。Mくんは、競争が始まると積み木の積み上げをしながらチラチラと張り紙を見ていました。「僕の勝ち!」「あいこだね!」次はとうとうMくんが負けてしまいました。「・・・」Mくんは積み木から目を逸らしました。そして、じっとうつ向いて黙っていたMくんはなんと片付けを始めたのです!そして笑顔で「じゃ次は◯◯遊びしよう」と次の活動に気持ちを切り替えること出来ましたp(^^)q 負けて悔しい感情を見事にコントロール出来たMくん。「競争は負けたり勝ったりってことなんだよ」と教えてくれました。(有馬)

 

training

「生活展にむけて」

trainingは9月に生活展を企画しています。trainingのメンバーは自分で作った作品やトレーニングを行い出来るようになったことで、生活が豊かになっていったことをいろいろな人に見てもらいたいと話しています。

 そこでtrainingでは生活展にむけて春祭りと題した発表会を行いました。「1番最初に発表してくれるのは誰でしょうか?」と司会者が尋ねると、1番に手を挙げたのはWさんでした。Wさんは「汚れた机をキレイに拭く」というトレーニングをしています。トレーニングといってもWさんの場合は関節可動域を広げるといった運動面のトレーニングだけではなく、集中して取り組むという認知面に対するトレーニングも行いました。Wさんは周囲の音や人の動きが気になり集中して行うことが難しいようでした。trainingは集団で活動する場なので、集中しやすいように周囲の音や人の動きを無くすことは出来ません。そこで、周囲が気になっても途中でやめずに取り組めるようトレーナーがアプローチを考えました。その1つがポイントカードです。お仕事を最後まで出来ればポイントが貰え、ポイントが貯まれば欲しいものを買う事が出来きます。以前は周囲が気になって集中して拭くことが難しかったWさんは、次第に拭き残し無く机を拭くことが出来るようになりました。春祭りではメンバーが見ている中での一発勝負でしたが見事に机をキレイにする事ができ、満面の笑みを浮かべていました。今では「お仕事します。」と積極的に伝えに来てくれます。お仕事することも楽しまれているようです。

 他のメンバーも「お茶を入れる」「カップスタックス」「丸いす座位保持競争」にチャレンジされました。メンバーが応援してくれることで楽しみながらチャレンジすることが出来ました。

 メンバーが今頑張っている取り組みを発表し合う事で、「私はこんなことが出来るようになったよ」「この人はこんな事を頑張っているんだな。私もがんばろう!」とモチベーションがさらに上がったようです。ひとりひとり目標は違うけれどもtrainingが一つの生活展を開催するという目標を持ちチームとして前に進むことが出来るよう切磋琢磨していきましょう。(青木)

 

kids

ゴールデンウィークにkidsでは電車に乗って靭公園に行ったり、野菜スタンプでこいのぼり制作をしたり、生玉神社で乗馬体験をしたりと普段のkidsとは少し違った活動を行いました。いつもとは違う活動の中で、子どもたちは新しい発見や経験をしながら楽しく取り組んでくれました。今回はその活動について紹介したいと思います。

「一本橋を渡るぞ!!」

靭公園にある一本橋は、急な切り返しと段差があります。歩いたり箸を使ったりというように、全ての意識的な活動や微細運動の基盤となる体幹の安定性を高めるために必要な「姿勢反応」を促す目的として、この一本橋にチャレンジをしました。子どもたちは落ちないようにゴールを目指して取り組んでくれました。

 不安定な足場でバランスをとる必要のある1本橋ではその姿勢反応を促すことができます。始めは大人が手を添えながら行い、慣れてくるにつれて少しずつ添えている手の位置を低くしてあげるといいと思います。

 

「どの岩から登れば上までたどり着けるかな…?」

様々な大きさ、形状の岩を取り入れた活動です。岩の形状によって足を乗せやすいものや傾斜があって登りにくいものなど様々な条件があります。それらの条件に合わせて、より効率よく登るためにはどこに手や足をかければいいのかを考えながら一生懸命登ってくれました。

 効率よく登るには「運動企画」という運動や動作を組み立てる機能が必要になります。スムーズに登ることが難しい場合は、大人がどこに手や足をかければいいかをヒントを提示しながら行います。それで一度登りきることができれば、次は一人でチャレンジしてみます。そうするなかで、少しずつ身体の使い方を学んでいくことができるのです。(松野)

study

感じることの大切さ

さわやかな風に、温かい日差し。お外遊びやお散歩が楽しい季節になりました。ゴールデンウィークに生國魂神社で子どもの健やかな成長を祈る走馬神事が開催され、児童の乗馬体験ができました。今回は、そちらのプログラムについてご紹介させていただきます。いつもは本やテレビの映像などで見る馬を実際に見ることで、表象機能の強化を目的にアプローチしました。表象機能とは、簡単に言うと頭の中のイメージのことです。実際に馬を見た児童達は、「でか!」と言いながら、本と馬を指差して、何度も本と馬を見比べていました。写真では感じられない、馬の大きさやフサフサな毛並み、パカパカと歩く音など、見たり・聞いたりすることが出来ました。また体験後、馬の絵を描くと児童から「パカパカ」や「もう少し大きいよ。」「もう少し高くて、フサフサだったよ」等と馬を表現する様々な言葉が飛び交いました。馬の見た目だけでなく実際に乗馬することで、馬の高さや歩いている振動を感じ、感じることでイメージがさらに膨らんで言葉に繋がったようです。イメージがあるからこそ、誰かに伝えたい、それを伝えるために身振り手振りやことばを発することでコミュニケーションへと発展が出来るのです。たくさんのことを経験して、色々な感覚を感じて、伝えたい気持ちが高まるといいな。(仮屋)

お知らせ

6月のsubaco holidayは、3日、17日、24日の3日間を予定しています。楽しいプログラム盛りだくさんでお待ちしています。皆様ぜひお越し下さい。

 

すばこだより5月号(PDF版)