大阪市天王寺区・西区の
児童発達支援・生活介護「スバコ」

【2017年7月】すばこだより 「帰ってあーそぼっ」他


 蝉たちの大合唱に、いよいよ本格的な夏の到来を感じさせる今日この頃。いよいよ夏休みに突入し、たくさんのイベントが目白押しですね。暑い日が続きますが、体調をしっかり整えて、暑さに負けずに夏を楽しんでいきましょう!

 

switch

「帰ってあーそぼっ」

Yくんは小学校2年生の男の子です。Yくんは積み木やプラレールで街を作ったり乗り物を作って遊ぶことが大好きです。subaco switchに来ると「今日もプラレールする!」と言って、自由時間が来るのを楽しみにしています。

そんなYくんですが、予定の変更が苦手で急に予定していたことがなくなると「やだー!」と大きな声で叫んでしまいます。

どんな説明を受けても「嫌だ嫌だ!」の一点張りで取りつく島もありません。予定していたことがYくんの好きな活動だったらなおさら大変です。でも、次の活動に進んでしまえば楽しく過ごせるYくん、切り替えがもっと楽に出来るようになれたらいいですよね。

subaco switchでYくんの認知処理過程を図る検査を行ったところ同時処理優位といわれる「物事の理解に関して、まずは情報の全体像を把握した上で細部について考えていく」処理傾向が強いことが分かりました。

また情報の処理過程にはもう一つ継次処理というものがあり、こちらは一つ一つの情報を順番に処理していく過程なのですが、Yくんはこちらの継次処理が苦手だということも分かりました。つまり「やろうと思っていたことが出来ない」という情報に思考の大半が占められしまい、それ以上考えることが難しい状況であると考えられました。

 

そこで、今回subaco switchでは、イラストを使った取り組みを行いました。

イラストに示したのは、Yくんが継次的に考えていくことが難しい左記の内容です。予定していたプラレール遊びが出来ず帰る時間になった時、“嫌だ!と言い続けたらどうなるか”“諦めたらどうなるか”最終的な結果は同じだけどどうする?というものです。混乱した状態になってしまってからでは落ち着いて考えることは難しいため、「こうなった時はどうする?」と事前にYくんに見てもらいました。

すると、Yくんはイラストを隅々まで確認した後「もういいってする」と答えました。

そして、実際プラレールが急に出来なくなるという状況を作ってみるとYくんは、「プラレールしたい…」と呟いてからイラストを見直し帰る支度を始めました。癇癪を起こさなかったYくんは送迎車が来るまで好きな動画を見て機嫌良く帰ることが出来ました(^^) 

“予定していた事は必ずやらないといけない”というこれまでのパターンではなく、諦めても楽しかったという経験を積み重ねることが、先のことを考えて今の行動をコントロールする力になっていきます。Yくん、今度こそプラレールしようね(^^)/(有馬)

 

study

「あ!伝わった!」

スバコスタディに通うRくんは、ちょっとシャイな男の子。もうすぐ4歳のお誕生日をむかえます!スタディに通いはじめた頃は、慣れない人や場所に緊張気味のRくんでしたが、「(今日は)何するの?」と今では毎週教室にくるのを楽しみにしてくれているようです。友達と遊ぶこともお話することも大好きだけど、言葉で伝えることが少し苦手なRくん。伝えたいことはあるのに、「なに言ってるかわからん」そんな風に友達に言われて悲しい思いをしてしまうこともあるようです。聞いて分かることばはたくさん持っている

Rくんですが、お話をするとなると、どうやら頭の中でイメージしたことを言語<音声記号>に変換することに時間がかかってしまうようです。 

 現在は、単語から2語文、3語文で伝えられるようにと練習中です!すこ〜しレッスンを覗いてみましょう♪Rくんの大好きなお人形を使った

<ごっこ遊び>をしているようですよ。

      おやおや?お出かけ中のカエルさんから電話がかかってきたみたい。

     「おうまさーん、何してるの?」「いちご!」

     「あ!いちごを食べているの?いいな〜」「ちがう、いちご…切ってる!」

     「そっか、いちごを切っているんだ!今から食べるんだね。」

・・・ちゃんとトレーナーに伝わったことにニッコリ笑顔のRくんです。伝わるって嬉しいな、もっと伝えたいな!そんな気持ちがRくんに芽生えているでしょうか?これが<コミュニケーション>なんですよね。楽しかった出来事、嬉しかった話、ちょっと悲しかったこと…ことばにできて、

相手に共感してもらえると喜びがもっと大きくなったり、心が軽くなったりするんだ。Rくん!今週も一緒にお話できるの楽しみに待ってるよ♪(原)

 

kids

「新聞紙」

 皆さんは読み終えた新聞紙やチラシをどうしますか?そのまま捨ててしまうということも多いのではないでしょうか?実はそんな捨てるはずだった新聞紙も使い方を工夫すると立派な教具になります。今回はその新聞紙を使ったkidsで行っている取り組みをいくつかご紹介致します。

「引っ張って、さあ負けないぞ!」

 subaco kidsへ来ている児童の中には、スプーンやお箸が使いにくい児童や、字を書く際の筆圧のコントロールが上手くできない児童がいます。それには手の固有受容覚(筋肉や関節から得られる感覚)や握力が関係しています。また握力は指の巧緻性の発達にも大きく関係しています。そのような固有受容覚や握力を高める活動として行います。下図のように2人で向かい合い新聞を両上肢で把持して引っ張り合います。そして破れた後の紙を見て大きい方の勝ち!というルールです。手部の固有受容覚だけでなく、踏ん張る必要もあるため、下肢と体幹の筋力を高めることやバランス機能の向上も期待できます。ジャンプや踏ん張ることに課題がある児童にもいいですね。

 

 

「くぐって、動いて、出ておいで」

上の写真のように広げた新聞紙に丸い穴を開けます。その中に身体を通していき、新聞紙を破らないようにくぐり抜けることができれば成功!となります。フラフープなどを用いてもできるのですが、破れやすい新聞紙を用いることで、より慎重に注意をしながら行うことができます。もし破れたとしても、聴覚からは「ビリッ」と破れた音の情報が入り、視覚からも情報が入ります。それらの情報からフィードバックをして行動する事が次の成功への鍵となります。

この活動は自分の身体と外界との境界線や関節の動き、位置がわかる「ボディイメージ」の獲得を促すことを目的に行います。ボディイメージを獲得することで目に見えない身体の使い方や「運動企画」という運動や動作を組み立てる機能の発達を促すことにつながります。(北川)

 

training

「障がいってなんだろう」

今年もsubacoデリバースクールが開催されました。デリバースクールではtrainingメンバーが講師となり理学療法士を目指す学生さん達にその学年のニーズに応じた授業を行っています。今年度第一回目は関西医療学園専門学校様の一年生に向けて行いました。講師として参加したのはHさん・Wさん・Iさんの3名です。今回はメンバーと学生さんがコミュニケーションを取り、障がいを持つ人の生活を伝えるというテーマで授業を行いました。メンバーにどう話しかけたらいいのか様子を伺っている学生さんでしたが、メンバーから「質問はないですか」と問いかけられると安心した様子で少しずつ質問も出始めました。何を聞いたらいいのかわからないと思っていた学生さんは、メンバーのことを知っていく内にもっと生活や思いが知りたいと思われたようです。Hさんは「どんな生活をしているのかを知ることで、どんなことに困っているのかが見えてくるはずです」と話されていました。そのHさんが電動車いすに乗り一人で買物に行く姿を撮影した動画を見た学生さん達は、想像していた生活よりも自分で出来ることが多いことに驚かれていました。また、歩道に停められた自転車に当たらないように慎重に電動車いすを操作する姿を見て、普段景色として捉えていた自転車が障害になっていることに気づくことが出来ました。デリバースクール前は「身体的な障がいによってどんなことに困っているのだろうか」と考えていましたが、授業を通して生活を知ることで「環境の中にも生活する上で障がいになることがあるんだ」ということを考える良いきっかけになったと言われていました。デリバースクールを通して生活における買い物などの活動や余暇の過ごし方を知ったことで、身体機能面だけでなく、その人を取り巻く環境にも目を向ける大切さを知ることが出来ました。メンバーは自分の生活を伝えることができ、講師として役割を果すことが出来ましたね。次のデリバースクールも頑張っていきましょう!(青木)

 

お知らせ

subacoはお盆も休まず営業しております♪夏休みは各事業所毎に特別プログラムをご用意してお待ちしています!

 

すばこだより7月号(PDF版)

 

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