大阪市天王寺区・西区の
児童発達支援・生活介護「スバコ」

【2016年12月号】すばこだより「僕が教えてあげるね!」他


 早いもので2016年も、残りわずかとなりました。皆様にとって、今年はどんな1年でしたでしょうか?subacoとしては、新たに西区にてKIDSとSTUDYが開所し、大きな変化と多くの出会いがあった1年となりました。今年も1年、お力添えをいただきましてありがとうございました。新年は、1月4日(水)より開所致します。来年もどうぞよろしくお願い致します。

 

subaco switch

「僕が教えてあげるね!」

「今日は◯◯しましょう」小学1年生のT君はswitchに来ると、一番に支度を終えてみんなでする遊びを決めてくれます。「早く始めましょう」とT君、他のお友達が支度している間も待ち遠しそうです。

 そんなT君は、遊びに夢中になってくるとついつい夢中になってお友達の順番を忘れてしまいます。そのためお友達は「順番抜かした!つまんない!」と遊びから抜けてしまいます。

 トレーナーはそんなT君と2人で「グラグラゲーム」をしてみました。「グラグラゲーム」の遊び方は、色が記されたサイコロを振って、出た色の人形をタワーに置き、タワーを倒した人が負けというものです。では、ゲームの様子を見てみましょう(p◯-◯q)
switch

 T君は、自分の順番が終わるとすぐにサイコロをトレーナーに渡してくれます。でもトレーナーがサイコロを振って色が決まると、T君は人形に手を伸ばしそのままタワーに乗せてしまいました。そこでトレーナーは、T君が順番を守りながらみんなと遊ぶことが出来るように、こんなレッスンを提案しました。

 「Tくん、今日はT君が先生になってね!」トレーナーはTくんが衝動的に行動してしまうことを抑制するレッスンとして「役割戦略」を用いました。例えば、警察官なら正義の心で悪い人を捕まえる、消防士なら勇敢に炎に立ち向かうなど、それぞれ役割を持っています。そんな自分ではない誰かの役割を演じきることで、感情的・衝動的な行動ではなくその役割に応じた行動を選ぶ事が出来る、それが「役割戦略」の考え方です。

では、先生になったT君がどうなったか見てみましょう。

 T君はサイコロをトレーナーに手渡します。「次は有馬さんですよ」次は人形を手にします。「次はT先生です。あ!違う!有馬さんです。」T君は小さな先生になりきって最後まで交代しながら遊ぶことが出来ました。グラグラ、グラグラ…セーフです。あれ?全部乗っちゃった!今日の勝負はT先生と有馬さんの引き分けです(^^)これでお友達とも仲良く遊べるね♪T先生、今度はどんな授業をしてくれるかな(^^)(有馬)

 

subaco training

「trainingチームの社会参加2016」

 2016年も残すところ、あと数日となりました。思い返せば、今年もtrainingチームが社会参加する大きなイベントがありました。

 春にはHさんが「スーパーでリンゴを把持・運搬する」という目標を達成したことを関西医療学園さんでsubaco scoop! として発表することが出来ました。Hさんが「リンゴを掴めたことよりも、自分のために一緒に頑張ってくれる人がいて幸せだ」と言ったことが印象的でした。

 そして、秋には大阪医専さんへのデリバースクールを行いました。参加されたメンバーは、自分の思いを伝えるべく講義をしました。自己紹介カードの作成や発表の練習行って学生さんに思いを伝えることが出来ました。また、Iさんの「床からの立ち上がり」の目標達成についてのscoop! も行いました。本番では多くの学生さんが見ており、緊張感がある中で実演することが出来ました。普段は明るくお話好きなIさんですが、人前に出ると、いつもとは一味違った真剣な表情で見事に役割を果たしてくれました。

 2017年は新たな社会参加の場として、障がい者居宅介護従業者基礎研修も行います。一般的に、講義では利用者の思いについてあまり触れることはないのですが、subacoでは、メンバーも講師や助手としての役割を持ち、生の声を届けたいと取り組み始めています。普段は福祉サービスを利用して生活をしているメンバーも、その福祉サービスの向上の為に参加しようと一歩踏み出しました。その一歩が社会を変えていく力になっていくのかもしれません。  

 最後になりますが、本年もメンバーとそのご家族様、その他subacoに関わる全ての方々にお礼申し上げます。
training

そして、来年も社会参加に向けてtraining一同頑張って参りますので、ご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。(青木)

 

subaco kids

「僕、かっこよくまわるんだ!」

 早いもので2016年も残りわずかとなりました。お子様達が目標に向かって、一歩一歩あゆみ、「こんなことができるようになったんだ。」と思える一年になったのではないでしょうか。

 10月のsubaco scoop!では、「キックボードにのれる」という目標を見事に達成した4歳のYくんを紹介しました。発表の場では少し恥ずかしながらも、キックボードをかっこよく披露してくれました。
そんなYくんの次なる目標は「前転ができる」です。最初のレッスンでは「できない」と自信がない様子。でも、Yくんは「かっこよく回りたい!仮面ライダーエグゼイドみたいになりたい!」と教えてくれました。
では、前転が出来るようになると、どのような参加があるのでしょうか?
最近の小学校では、発表会の劇中に前転の披露を取り入れることもあるようです。
前転でさらに自信をつけるとともに、参加面の選択が広がるよう目標に取り組みました。

 Yくんの前転からは、回転しようという気持ちはあるのですが、支持基底面に対する重心位置の移動、足の蹴り出し、頭部の移動など全てが同時に動いているような様相が見られました。
このことから、行為機能の運動企画に課題があるのではないかと考えました。
行為機能とは、
観念化(何をすべきかを知っていること)、
企画(どうやって行うか、動作の選択、決定を知っていること)、
実行(強さや方向を知っていること)
という構成要素から成り立っています。
Yくんはこの企画(動作の選択)に弱さがあるのではないかと考え、「こえてくぐってエクササイズ」の検査を行いました。(下写真)
kids

膝の高さに設定した一本のひもを上からまたいで、下からくぐるということを5回繰り返し、そのタイムを計ります。Yくんは一つ一つの動作が大きくなり、時間が掛かってしまいました。
このことから、運動の順序立てに課題があることが見えてきました。課題とは逆に視覚からのフィードバックの強みが見られたYくん。そんな強みをいかしアプローチでは、手形や足形を使い視覚情報を多く取り入れました。
また、両下肢の間から覗き込み、支持基底面の中心に後頭部を移動させ、地面について回れるようにと、後ろの壁に絵カードを貼り、その絵カードが何だったのか当てるクイズを行いました。そうすることで、運動の動作が一つ一つの相に分けられ、今では腰を上げ、支持基底面に対し、重心位置を前方に移動し回れるようになりました。

「できる」ことが増えることで、次の目標にも意欲的に取り組めるようになるんですね。私もYくんから教えてもらいました。ありがとうYくん!かっこよく回れているか動画を一緒に見返すのも楽しみの一つです♪ 2017年はどんな「できた!」という笑顔に出会えるか今から楽しみです。(横尾)

 

《おしらせ》

1月のsubaco holiday は第2・4土曜日の開催となります。
楽しいプログラム盛りだくさんでお待ちしています!ぜひご利用くださいね◎

 

subaco study

「何でも変身させちゃうよ!」

 今回ご紹介するのは、小学生のY君です。Y君は魚や恐竜が大好きで「エオラプトル」(恐竜)「ジンベエザメ」(魚)とたくさんの名前を教えてくれます。歌うことも大好きで、童謡「まつぼっくり」を、♪まつぼっくりが〜あったとさ〜♪と歌いながら書いて教えてくれます。しかし、Yくんが書いた歌詞をよ〜く見てみると「まつぼくりが…」と書いていたのです。もう一度歌ってもらうと、やはり「まつぼっくりが~」と歌うことが出来ていました。

 Yくんが書き忘れていた「っ」は<促音>といって、ひらがなの原則である「1文字1音節1拍」から外れ、声に出して読まない特殊な音節です。そんな促音を正しく表記するためには、<音韻認識>とよばれる、語を構成する音の単位を認識する力が必要となります。皆さんは、逆さ言葉で「かるいの反対は?」→「イルカ」や「「たいこ」の「い」を抜くと?」→「たこ」などの言葉遊びをした経験がありませんか?これらの遊びは、音韻認識が発達しているからこそ出来る遊びなのです。Yくんにも取り組んでもらいましたが、単語の2文字目の音が何か?2文字目を抜くと何になるか?など、1つ1つの音を操る事が難しいようでした。

 そこでまずは、Yくんに「っ」があることの意味を認識してもらえるように「変身!単語」というレッスンを考えました。これはひらがな積み木を使って単語を作り、その間に促音を当てはめることで、違う意味をもつ単語に変身させるというレッスンです。
study

 トレーナーが単語(ま・く・ら)を作り「これ読んでみて」と読んでもらいました。そのあと、トレーナーが「変身!」の掛け声で「ま」と「く」の間に促音の積み木を入れて改めて読んでもらうと「まっくら」となり、Y君も「まっくら」「まっくら」と何度も読んでいました。さらに、Y君の目を隠して「真っ暗、なった?」と伝えると君も「真っ暗や」と意味まで理解することができて、自分でも目を隠して「真っ暗」と話していました。
 最近ではY君自身でも、「まち(町)」と「まっち(マッチ)」など単語を変身させてくれています。様々なレッスンをつみ、少しずつ単語や短文も正しく書けるようになってきたY君。来年は、文字を使ってどんなことが伝えられるようになるでしょうか?とても楽しみです♪(飯田)