大阪市天王寺区・西区の
児童発達支援・生活介護「スバコ」

異質の光


 

 謙虚な心情に支えられた精神薄弱な人びとの歩みは

 どんなに遅々としていても

 その存在そのものから

 世の中を明るくする光がでるのである

 単純に私たちはそう考える

 

(引用:糸賀一雄『この子らを世の光に』1965年ミネルヴァ書房)

 

 

1946年の戦後混乱期の中、知的障がい児等の入所・教育・医療を行う「近江学園」を滋賀県に創設し、

日本の社会福祉を切り開いた糸賀一雄先生は

1960年代に『発達保障』の理念を提唱します

 

『発達保障』という言葉は福祉や教育分野において

今日ではあまり耳にしないのではないでしょうか

 

『発達保障』という理念がなくなったのではなくて

『保障』という抽象的な言葉から

『発達支援』『特別支援』『合理的配慮』など

より具体的な内容に発展してきた為かもしれません

 

 

糸賀先生は晩年、著作集にこのような言葉も残されています

 

私たちは、この人たちの放つ光を光としてうけとめる人々の数を、この世に増やしてきた。異質の光をしっかりと見とめる人びとが、次第に多くなりつつある。人間の本当の平等と自由は、この光を光としてお互いに認め合うところにはじめて成り立つということにも、少しずつ気づきはじめてきた

 

 

日本の福祉の父と呼ばれる糸賀先生が

現在の日本の福祉を見ればどう思うのでしょう?

 

障がい児者の為に整備された地下鉄のエレベーター

その第一号は大阪市平野区の喜連瓜破駅でした

大阪厚生療育センターがある駅です

(市立心身障害者リハビリテーションセンター)

 

現在は市営地下鉄全駅に備わっています

実際は障がいのみならず、高齢者、妊婦、ベビーカー、時間を急ぐ人など多様に使用されるエレベーターです

 

障がいのある人への社会的な取り組みが

健常者にも便利さを与えている事実があります

 

  『この子らを世の光に』

 

糸賀先生が大切にしていた障がい者支援の視点です

 

これから私たちはどうしていくべきでしょうか?

 

 

 

年間632万トン

毎日1人につきお茶碗一杯分の食品ロス

捨てるほど食べ物が余っている生活環境で

障がいのある人が標準体重を維持することは

簡単なことではありません

 

しかし、

ハンデのある人の健康管理が容易になる環境は

きっと地域のエレベーターのように

多くの人に貢献していくのではないでしょうか

 

 

 

障がいの壁を排除するバリアフリーデザインから

誰にとっても使いやすいユニバーサルデザインへ

進化する電話や時計

 

『ユニバーサル』だからこそ

障がいがある人と支援者ならではの使い方があって

それが良いモデルとなり社会に広がっていくことが

ユニバーサルの先の展望だと私たちは考えます

 

 

『に』から『を』の障がい福祉の今までを

『を』から『が』のこれからへと

進めていきましょう

 

  『この子らが世の光に』

 

異質な光で照らすんだ

 

 

 Listen

    I believe everything we dream
    can come to pass through our union
    we can turn the world around
    we can turn the earth’s revolution
    we have the power

 

 

            Patti Smith “People have the power”