大阪市天王寺区・西区の
児童発達支援・生活介護「スバコ」

落ち着け!フーフー!


Kくんは現在「失敗してもやり直す」という目標に取り組んでいます。

”失敗することがどうしても受け入れられない”

”始めること・やってみることすら出来ない”

こういう場合、どうやって取り組みを始めたら良いでしょうか?

どうしても嫌なら

”しない”

”出来るところだけする”

それもありだと思います。

でも実は子どもは ”やりたくない・やらなくていい” とは思っていないのです。

”やらないといけないって思ってるのに、どうして出来ないのだろう”と困っています。

”失敗しないように、段階的に進めていく”

成功経験を積み重ね、自己認識・自尊心を高めながら取り組んでいく。

”やらされている” のではなく、

”成功経験によって児童自身が主体的・能動的に取り組んでいくように環境を整える”

これはsubaco switchの基本姿勢です。

しかし今回は、”失敗に直面した時にどうするか” それがテーマです。

人が不快を感じた時本能的に反応するのが脳の「大脳辺縁系」、特に「扁桃体」と呼ばれる部位です。

危険から身を守るために重要な役割を担っています。

また、人が社会生活を営むためには、感情を抑え理性的に行動することも必要になりますが、

その働きを担うのが理性や思考を司る「前頭葉」と呼ばれる場所です。

Kくんは、失敗すると活動から離れておしゃべりをしたり、あるいは不快な感情が高揚して

落ち着いて取り組むことが難しくなってしまいます。

そこで、失敗した時に扁桃体ではなく前頭葉が優位に働くように、

”失敗したらどうするか” をイラスト化して、

「 ”やり直す” が出来たらご褒美シールを貼ろうね」と声を掛けます。

この活動は板に開けられた道に沿ってスティックを動かしていく

「イライラ棒」というsubaco switchの活動です。

 

約束は「スティックが板に当たったらスタートに戻ってやり直す」ということです。

Kくんは、イラストを確認し取り組みを始めました。

”(カチン!)”

スティックが淵に当たってしまいました。

Kくんは静かにスティックをすぐスタートに戻し、

「汗かいてきた」と言って ”フーフー” と体に息を吹きかけました。


これまでは、失敗したら取り組みから離れておしゃべりをしたり

「出来ひん!」と大きな声で感情を露わにしていたKくん。

Kくんは、失敗から逃げることなく感情に飲まれてしまうこともなく、

”フーフー”と息を吹きかけることで失敗して汗をかいてきた自分を認識し、

”自分で自分を落ち着かせる”ことが出来たのです。

今回の取り組みでKくんは、

(不快な感情に飲まれそうになったら)

”フーフーと体に息を吹きかける” という自制スキルを自ら手に入れたのです!

失敗しても、自分を落ち着かせて取り組みを続けたKくんは

見事にイライラ棒をクリアしました!

自分で自分を落ち着かせるスキルがこれからKくんの力となり、

今とこれからの生活で役立つよう更に取り組みを深めていきたいと思います。

subaco switch:有馬 千恵

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