お茶どうぞ!

本日はスバコトレーニング(生活介護)中井リーダーのレポートです。
『わださんのお茶入れ動作の実用性の獲得について』
わださんは自身のコップにお茶を注いだ後他のコップにお茶を注ぐ前にトレーナーの顔を確認しています。
他のコップにお茶を入れる際、お茶をこぼしている事を認知しておらずお茶入れ動作が完了した後はガッツポーズをしながらトレーナーに接近されます。
運動学的な観察・分析では、自身のコップは利き手の母指と中指で支えながら非利き手の茶瓶は母指の末節骨を茶瓶の蓋に乗せ、示指・中指・環指・小指のMP関節に茶瓶の取手部分を引っ掛けるようにして把持して安定させているよう分析します。
また、他のコップにお茶を入れる際利き手は自身のコップから離れず非利き手で把持している茶瓶を移動させて注いでいるようです。
和田さんは普段行っているお茶入れ動作で自身の白いコップにお茶を入れる際にコップの縁ギリギリまで注ぐという量的法則があることが考えられます。
スバコで和田さん以外のメンバーさんが使用している透明なグラスに関しては形状上、底面から7割くらいの位置に「お茶をここまで入れる」と認知できるような目安となる縁があるため量の調整は可能であると考えていますが透明のグラスに麦茶を入れる際に机上も茶色であるため視覚的にどこまでお茶を入れたのか、またこぼしてしまった事に気付いていないのではないかと考えました。
今後は、特殊な形状のコップへのお茶入れ動作では目安の位置を認知して量の調節を行う必要があると感じたので様々なコップに牛乳、ジュースなど色の違う内容物注ぐことが出来るのか検査的に関わってみたいと考えています。
スバコ トレーニング 中井
視覚情報処理と視空間情報処理(視空間認知)は定義が異なります。
視覚情報処理というと、抽象的な像をみて、その意味を具体的に認知する処理と解釈することが心理学の一般論です。
視空間認知となると、中心視野と周辺視野を統合して、物の形状や位置、向き、距離などの情報を処理する機能を指します。
この場合、視覚情報処理の問題もあると思いますが、視空間認知の問題も仮説して検査に移る必要があると思います。
また学習機能として、フィードバックループやフィードフォワードループという理論からも、なぜご本人が失敗してしまうのか、仮説して解釈していく必要があると思います。
フィードバックループは運動出力しながら、同時に感覚情報を入力する運動モデルです。
フィードフォワードは入力なしで、出力が中心の運動モデルです。
和田さんの場合、お茶を入れるために必要な運動を行いながら、お茶が溜まっていく光景を視覚により入力して、運動を調整することができているでしょうか?
また、その機能を確かめるにはどのような方法を考えますか?
既存のテスト・検査でも構いませんし、自分で考えてみてもOKです。
ぜひ ご本人さんと一緒にトライしてみましょう。
普通の容器でお茶を10杯 こぼさずに立って入れることが出来た時、和田さんが手にいれる喜びとはなんでしょう?
お茶を入れるという動作は、水分を摂取するという生理的な目的だけではなく、
お茶を差し出すという行為に繋がれば、和田さんが相手に気持ちを与えるという目的も果たすことができるでしょう。
『もらう』
『あげる』
その両方の役割を果たせた時、
何かが生まれて、育っていくと信じています。
『やったー!』
そんな大きな喜びと
小さな幸せが訪れることを祈って。
Friday night arrives without a suitcase
Sunday morning creeping like a nun
Monday’s child has learned to tie his bootlaces
See how they run
Lady Madonna : The Beatles