大阪市天王寺区・西区の
児童発達支援・生活介護「スバコ」

きっかけ。


スバコ スタディの宮本先生の支援報告です。

 

ゆうとくん

ひらがなの文字パズルを使用し、5つほどのピースを並べて欠けている部分を埋めてもらう課題を設定しました。

この課題で、文字の線と線が交わっている部分や「はらい」や「はね」などの部分を理解しているのか確認するために行ないました。

 特に特徴的だったのは、「ら」「ふ」の点の部分で間違えている様子が見られました。しかし、異なったピースをはめて本人も違和感を感じているのか、何度もやり直している姿が見られました。

 文字パズルが完成した際、「できたね」と言葉と拍手でほめると嬉しそうにする様子(笑う表情など)が見られます。また本人もまだパズルをやりたい様子で次のパズルを探す様子も少し見られました。ひらがなを書く課題では、プリントを一枚終了させると文字パズルと同じようにほめるのですが、特に嬉しそうな様子はありません。

 推測では、パズルのほうが課題の達成が明確なため出来たときに、達成感が生まれそれが内発的動機付けとなったのではないか。そのため、ゆうとくんは文字パズルに関しては報酬は無くてもよいが、ひらがなの書字の課題に対しては報酬を与えたほうがよいと思われます。

 一つ疑問に思うことが、課題を作成する際に内発的な動機を起こさせるような課題を作成するべきなのか、先述のようなことを特に考慮はせず子どもに報酬を与えて外発的な動機付けをするほうが良いのか、どちらがより学習にとってよいのでしょうか。

 

宮本先生は自閉症の疑いのある ゆうき君に対して、

文字の課題を行なっているところ、本人の取り組んでいる様子を受け止めて、

ゆうきくんに対する宮本先生の考えが、『動機』について導かれています。

 

『動機』とは何でしょうか?

 

行動学的・心理学的にとても重要なキーワードです。

 

大きく『人がある行動を行なうための目的・理由』だと思われます。

 

 

動機が重要といっても、

人の行動の全てに目的があるという訳ではないようです。

 

脳性麻痺やパーキンソン氏病の方に出現するような不随意運動(勝手に手が動いたり・頭がゆれてしまったり・舌が動いたり口が開いて よだれが出てしまうような運動)があるように、

自閉症の方にも特に明確な意志や目的がないまま、

勝手に歩いてしまったり、立ち上がってしまったり、手首が動いてしまうような行為が出現して

しまうことが有ります。

脳性麻痺の方たちと自閉症の方たちとの『不随意運動』の違いは?

動作の構成度と思います。

 

 

脳性麻痺の方たちは関節が勝手に動いてしまうレベルで、

自閉症の方たちは関節は他の関節と分離してきれいに動いているのですが、

その動作が周囲の人や物に対する因果関係と結びつかない場合があるということです。

 

 

自分のために動いているんだ、という考え方もあるかと思います。

確かに自閉症の方が感覚不足で自分の意識を水準に保つために歩いたり、飛び跳ねたり、独り言を口に出してしまうことはあるようですが、

そんなわけでもなく、『勝手に』動いてしまうことが多いそうです。

 

 

そのような話は当事者さんが書かれた本やスバコに通っている子どもたち(特に中学生以上)との会話から知りました。(あまり医学書からは参考にできていません)

 

 

そのような子どもたちが『目的を定めて行動を企画して、開始する。』という経験を重ねることはとても大切なことだと思います。

 

ボクはその動機が『外発的』か『内発的』かが重要ではないと考えています。

『外発的』というのは意図的(ここでは人為的)に本人の動機を『内発させている』ということを意味しているからです。

 

 

『あめちゃんをあげるから、頑張って課題に取り組んでね。』

という呈示には、

『勉強を行なう』という行動と『飴』がもらえるという行動の因果関係が理解出来るという課題も含まれます。

 

これが理解出来るということも、実行機能においては大切な発達機能です。

『やる目的』が ゼロの状態の自分から気づいて生み出したのではなくて、

先生との関わりから気づいて生まれることも内発的だと思います。

 

 

ボクたちは誰かと今 出会ったり、これから出会うために、自らを発しているのでしょう。

 

 

褒められるから頑張る。

何かがもらえるから頑張る。

 

それって人と交わって社会に入るための道 そのものではないでしょうか。

 

褒められないから頑張らない。

何ももらえないから頑張らない。

 

それでもいいんだと思います。

 

それでいいんだと思います。

 

何かが必ず与えられるということを、子どもに必ず理解してもらえるような大人の示し方。

それが指導者として、人生の先輩として、大切なのではないでしょうか?

 

 

君には不得意なことが多いようだが、

君の笑顔は最高だ!

 

 

 

 

So Sgt. Pepper took you by surprise,

You better see right through that mother’s eyes.

Those freaks was right when they said you was dead.

The one mistake you made was in your head.

Ah, how do you sleep?

Ah, how do you sleep at night?

           How Do You Sleep? – John Lennon