その手があった

医療と聞くと悪いものを良くすることに思う
教育と聞くと伸ばしたり大きくしたりすることに思う
福祉となるとどうだろう
生後間もなく脳性麻痺と診断されたホリグチさん
50歳を過ぎました
股関節は20年間 脱臼したままの状態で
その痛みに耐えるのではなく
笑い飛ばそうとされています
四肢を動かす運動神経の通り道である脳室周囲が障害されているの で
運動麻痺があります
Brunnstrom stage testという随意運動の検査では
上肢・手指ともにstageⅢ
手を動かそうと思えば目的の方向に動くのですが
手を細かく動かすことは難しく
手首も肘も肩も そして首も共同して動いてしまいます
大脳基底核という運動の開始・ 停止を司る場所も障害されているので
不随意運動がみられます
意思に関わらず喋ったり、ご飯を食べるなど、 体のどこかを動かそうとすると
動かすべきでない手足も一緒に動いてしまいます
それだけではなく
舌や声帯の筋も過緊張と言って強く収縮してしまうために
声を出すと力み過ぎてしまったり
カ行・サ行・ ラ行など舌を使う音をうまく構音できないことがあります
それを構音障害と呼んでいます
他にもあります
不意に音がなれば手が振り上がり
全身の筋肉が緊張してしまいます
聴覚過敏があり
聞いていない音を意識から消そうとすることが難しく
またそれを聞いてしまうことで
逃避反射という反応が生じてしまいます
この反射が出てしまうことによって
外からの刺激から逃げるような運動が出現してしまい
刺激に耐えて一定の状態を保つような運動が障害されてしまいます
その一つに姿勢反射障害があります
その結果 座ったり立ったり歩くことへの発達に影響が出ます
それら全てを総称して「運動障がい」と呼んでいます
でも、だれがそう呼ぶのでしょうか?
なぜそう呼ぶのでしょう?
脳性麻痺にも様々なタイプ(型)があり
ホリグチさんはアテトーゼ型という分類の脳性麻痺です
アテトーゼ型脳性麻痺
医療職ならば誰もがその養成課程の授業で出会う診断名です
その知識について国家試験にも頻出します
中でも特に問われることの多い問題が下の例です
「アテトーゼ型脳性麻痺は知的障害を伴うか否か」
医学一般的には伴わないことが正解です
基本的に大脳基底核という大脳の中核部の障がいであり
経験したことを脳に知識として貯め込むような大脳の外側の働きは
障害されていないのですね
そのようなことを机上で学んだ頃から10年以上経ちました
障がい者の障がいの部分を見ることが支援である
そう考えてしまう傾向が医学をモデルとする教育にはあると思いま す
福祉はそうでないと心しても
医学の過程にカリキュラムされている資格であれば
主流の傾向に流されてしまうことは自然でしょう
知識は知識であり
どのようにして関わるのか
どのような見方で見るのか
それまでを人が人に教えるべきことではないのかもしれません
知識に科学的な制約があったとしても
考え方はその人のユーモアで尊重されたい
How to subaco?
あなたはどう考えますか?
あなたならどうしますか?
この子
この子のお母さん
この人の立場に立って
寄り添って
一人暮らしのホリグチさんが
訪問ヘルパーを自宅で待つ間
好みのDVDを一人で入れ替えできるように
ホリグチさんと侑記トレーナーとチームの皆で
一緒に考えて作り上げた自助具です
現在、名前を募集中です。。。

運動は障がいがあっても
行動は障がいされていない
ホリグチさんの困難な状況に対して
解決策を考える力は保たれていて
パーソナリティとしての挑戦的な行動力は
周囲の人を刺激するほどの強さです
私もその一人でした
「難しいから楽しいんや」
巨人ファンのホリグチさんが阪神に負けて口にするその言葉
自分と出会った頃から今でも
支援者側に届いているのですね
「当事者さんは先生だ」
福祉の道に入ってはじめに先輩から言われたその一言
それが実感から現実に変わるまで
ボクたちは頑張り続けよう
We all live in a yellow submarine
Yellow submarine, yellow submarine
Yellow submarine, yellow submarine
The Beatles – Yellow submarine