もうすこし高く。

subaco全体セミナーも終わり、ほっと一息。
いよいよ三月ですね。
子どもにとってはもうすぐ春休み!?
大人にとっては入園・入学・進級の準備!!!
大変です。大忙しです。ともに乗り越えていきましょう。
さて、本日はsubaco study(認知・言語クラス)の竹本トレーナーのレポートを紹介します。
今回は、たー君について報告させて頂きます。
たー君について
発達検査からみても知的な発達の遅れがないアスペルガーの子どもさんです。
現在幼稚園の年長児です。保護者さまの主訴は「就学に向けて嫌がらずに勉強できるようになってほしい」とのことです。
たー君自身は、簡単な文章も読めるし、速度性や正確性には少しかけますが、ひらがなカタカナで単語を書くことができています。
たー君が家庭で「学校に行っても勉強しない」と言っているのは、なぜ勉強をさせられるのか意味が理解できないことにあるのではないかと考えられます。
スタディでは、誉められることが嬉しくて、積極的に書字に取り組んでくれていて、書きおわったプリントにも花丸を欲しがり達成感も持っているようです。
たー君の療育的課題としては、学業面より対人面の問題が大きいと思われます。人に誉められたい気持ちが強いのですが、注意をされると被害的にとらえてしまうところがあること。抑制できなくて(言葉の深い意味も理解できていないのかもしれませんが)「くそやろう」等の暴言をはいてしまうこと。幼稚園でもそのことでトラブルになることが多いと聞いています。
スタディの学習時間では、他の子と接触がなければ落ち着いていて、「1つプリントを終わらせてから次の課題にいく」「椅子の上には立たない」等のこちらが提示した約束にも従ってくれます。
問題点としては、実行機能の自己調整や社会的なルールの理解なのではないかと考えています。
たー君のように実行系に課題のある子どもさんにどうアプローチをするのかで悩んでいます。今は、人との関係の中で抑制したり折り合いをつけることができてきている様子ですが、機能に対するアプローチとしてこれでよいのかや、今後学校生活で起こる可能性の高いトラブルを減らしていくにはどうするべきであるのかと考えています。
聴覚処理・視覚処理など低下によるLDの徴候があまり認められないという評価ということであり、
認知処理・実行のプロセスに課題があるということですね。
認知において、確信の機能が低下しているのではないかと思います。
確信は判断と似ていると思いますが、判断は認知機能よりも実行機能に近いのかも知れません。
確信は見たことと、見ていないことを比較して、答えを信じることです。
この機能を働かせるには、見たことを知ったこととして記銘(記憶)する必要がありますし、
見ていないこと(記憶していないこと)を認識して、その二つを比較して、答えを一つの命題に統合する必要があります。
そして出来上がったものが確信です。
ですので、記憶が弱いと確信も弱くなります。
比較や統合が弱くても確信が弱くなります。
そうなると、本人よりも高い確信ができる大人・子どもが多い環境では本人は周りから信じ難い扱いを受けてしまうのかも知れません。
そうなる前にトレーニングが必要です。
もちろん、知識を高める作業が必要になってくると思いますが、
実行機能としては自己調整だけでなく、自分の大きさを大きくしていくような、自己発展や自己超越統合が必要になってくるように思います。
自己調整とは今、目の前の課題に対して認知の各々のアマルガムをどのように働かせるかを指揮するような役割・存在ですが、
自己超越統合とは、自分の自己活性・自己調整などが、自己のどの高さで行なえるのかというような存在です。
自己統合の高さが低ければ、たくさんの障害物にぶつかってしまいますが、
自己が超越されて、より高い場所で統合されると高さの低い障害物にぶつからず、乗り越えて進むことができます。
乗り越えられて進めるだけでなく、今まで衝突していた障害物を上の角度(今まで見ていた角度とは違う角度)で眺めることができるようになったりします。
それを繰り返して、どんどん高いレベルで自己統合していくことができれば、
生活内の出来事について、立体的に認知したり、実行することができるようになります。
自己超越統合と言葉にして、私たち援助者はそれが具体的にどのようなイメージなのか湧きにくいかも知れませんが、
エリクソンの発達段階説はかなり子どもの実行機能に近い意味を持っていて、しかもその内容は実行機能の中でも、自己超越的な意味を指しているように思います。
エリクソンの幼児前期から学童期までの発達段階を以下に添付します。
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幼児期前期
(1~2才)
「自立性」対「恥、疑惑」
子どもは自分の意志の行使、選択の仕方、自己制御の仕方を学習するか、あるいは自分で何ができるかについて不安を持つか疑問を抱くようになるかを学習する。
幼児期後期
(2~6才)
「自発性」対「罪悪感」
子どもは自分で活動を開始し、やり遂げることを学習し、行為に方向性や目的を持たせることを学習する。
自発性を発揮することが許されないと、自力でいろいろな試みをすることに罪障感(罪悪感)を抱く。
学童期
(6才~思春期)
「勤勉性」対「劣等感」
子どもは勤勉性の意識と好奇心を発達させ、学ぶことに熱心になる。
でなければ、劣等感を持ち、自分の前にある課題に興味を示さなくなる。
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それでは具体的にどのようなアプローチができるのか?
そこに至ることが大切なことだと思います。
私が作った兄弟喧嘩のお仕事があります。
喧嘩が怒った原因はなんだろうか?
きっかけを作ったのはだれだろうか?
兄弟一人一人の良いところ、なおした方が良いふるまいについて、思考してみてはどうでしょうか。
そして、さらに大切になものは子どもの発表会で保護者が手に持っているアレです。
『ビデオ』です。
子どもである自分が普段から大人にかけられている言葉は、自分の視点ではなく他人の目に映る視点であるため、
その視点を共有するかのように、ビデオに写る子ども本人について、大人が本人と一緒に語り合えるような時間はとても大切になってくると思います。
生活の中には学び(教示物)だらけです。
自分にとって自己統合の高さが低くいあまりに、教示物にぶつかってはじかれて奮闘して、疲れ切ってしまうのではなく、
靴を履いて、自転車に乗って、電車に乗って、飛行機に乗って、人生の旅に出かけられるように高く、遠く成長できるようトレーニングすることができればいいですね。
一日一日を大切にしていきましょう。
This happened once before
When I came to your door
No reply
They said it wasn’t you
But I saw you peep through
Your window
I saw the light
I saw the light
I know that you saw me
As I looked up to see
Your facespan
No Reply – The Beatles