ボタン花の歌

スバコキッズの原トレーナーの報告を紹介します。
ふう君のスバコキッズでのお仕事について
今週は、4種類のボタンを用いてぼたんどめの練習を行っています。
今回は成功体験の提供を目的にアプローチを設定しました。
歌に合わせて、お花をさかせていくというシナリオで今回は行ってみました。
ボタンは、
①直径2センチ【木ボタン(まんなかくぼみあり)】
②直径2センチ【プラスチックボタン】
③直径2.7センチ【くるみぼたん】
④直径1.5センチ【プラスチックボタン】
を使用していて、ボタンを縫い付けている生地はやわらかめのフェルトを使っています。
2月4日(水)
夜のおおそうじの課題を行ってから、ぼたんどめのおしごとに取り組む。
結果
①16秒
②10秒
③8秒
④23秒
観察
・ボタンをつまむ際、母指のIP関節、IP関節が伸展している
・ボタンをつまむ際、示指のDIP関節の伸展がみられる
・特に④の小さいボタンの際には、操作する側の手(ボタンをつまみ引っ張り出す)と支える側の手が定まっておらず、入れ替えながら使用している。最後の、つまみながらぐっと力を入れて引き抜かないといけない場面では右手を使っていた
・ボタンのつまむ時の手指の使い方が、バラバラしている印象があり、
母指と示指が指腹同士で対立させてつまんでいたり、母指指腹と示指指側ではさんでいたり、母指と中指を使っていたりと様々であるため不安定
課題への取り組みは意欲的であり、ボタンをとめている最中も途中で集中がとぎれて一息ついたり、諦めたりという様子は見られずとめることができた。
2月5日(木)
ぼたんどめのおしごとにとりくむ前に、母子示指を対立させてしっかりとつまみながら、引っ張り出すというパワーピンチの課題「コインをゲット」を加えて行う。トレーナーの手指の間にはさまれた4枚のコインを抜き取って集めていく課題で、左右の母子示指で2度ずつ行う。
結果
①8秒
②10秒
③5秒
④15秒
右手を使ったり左手を使ったりということが前回より減り、バラバラしている印象も前日ほど感じられなかったです。
速度性も②を除いて向上がみられたので、効果はあるのではないかと感じられました。
今後も本人が使いやすいボタンを一緒に探しながら、ご家庭とも共有していけたらいいなと考えています。
中学へ進学すると、高い確率で制服を着用しなければならなくなるとおもうので、制服のズボンのボタン、シャツのボタンを自分でとめれるようになることを目標に、実用性を高めていけたらと思います。
動画を確認しました。
運動の評価としては、はさみ運動について、2個目のボタンの課題で左側で母指と示指の組み合わせの摘み運動と示指と中指の挟み運動が分立して行なえていたことが確認できたでしょうか?
指の間でフエルトを持ち替える行為目的の指間操作ではなく、母指と示指でフエルトのボタン穴から出るボタンの縁を摘むために準備している運動と、示指と中指でフエルトを右手の対側に引っぱりボタンの縁がボタン穴と位置が合うよう操作しているんですね。
これが速度性を向上した要因ではないでしょうか?
ふうた君、昨年の自動販売機の前で財布からコインを取り出す行為では指間操作は認められませんでしたし、分立操作はそれ以上でした。
指の運動スキルが向上していますね。
しかしながら、未だ尺側手指を手掌内に収納できていない点が気になりますね。
正中位での運動に応じる橈側手指の機能をさらに特化していくためには、尺側手指の運動を抑制する必要がありますし、尺側の握りで手の剛性を高めて安定性が得られるよう目標にしていきたいですね。
運動観察以外においては、情動的な質について
歌がある点が素晴らしいと思いました。
①歌の歌詞が課題の進行状況に応じている点=状況を確かめやすい
②段階的にクリアーした時点でメロディが与えられる点=達成意識と目標意識が高まりやすい
この2点が良かったです。
私は音楽に詳しいわけでなく、音楽的観点から論じることはできませんが、
認知の観点から音楽の関係は深く説明されていることがあります。
知的能力の構造とは大きく、流動性推理、結晶性知識、視覚処理、聴覚処理、ワーキングメモリー、処理速度などの分類が上位にあります。
この中でも聴覚処理は大きく言語に関わっているのですが、この処理の原点は音楽的な感覚・認知から始まると言われています。
音色や音量から始まって、旋律へとまとまった感覚体として聴覚的に処理していくそうです。
子どもにとって、メロディやメロディアスな様態が情報に付属することはとても認知しやすいことなのですね。
知らない言葉や難しい言葉を子どもは文脈から獲得するだけでなく、歌うその旋律や歌詞の関係から認知していくそうです。
それに映像が付加されれば、とても言葉がイメージとして内的に伝わってくるそうです。
ですので、アナと雪の女王やアラジンなどのミュージック映画は子どもにとってとても受け入れやすい自己教育力のある教具なのでしょうね。
原トレーナーはキッズですので、感覚統合・行為機能に対するアプローチが役割のメインですが、子どもの聴覚処理の知能として音楽を用いて、感覚情報処理や行為の実用性を高めるアプローチを行なうことはとても有効的ですし、大切なアプローチであると思います。
ビデオでは音楽的要素をお仕事に取り入れることを控えめしているように感じました。
観察すべきはボタンと本人の手・姿勢・顔・行動などであると思いますが、本人の実行機能をより高める目的で、おしごとの時間中は『プレイ』として、音楽的要素をもっと積極的に設定しても良いのでは?と思いました。
原トレーナーの持ち味が出てきているのではないでしょうか?
それがポテンシャルなのだと思います。
潜在的な能力と学習して得た能力が組み合わさった時に『技』が生まれるのではないかと思います。
原トレーナーと ふう君ががこれからもっと凄くなるように感じた動画でした。
Just to dance with you
Is everything I need
Before this dance is through
I think I’ll love you too
I’m so happy when you dance with me
I’m Happy Just To Dance With You – The Beatles