大阪市天王寺区・西区の
児童発達支援・生活介護「スバコ」

左右を知る時


私たち大人にとって当然のことを子どもに説明する時、

言葉にすることが難しいと感じることはありませんか?

 

例えば、子どもに『上下ってなに?』と尋ねられたとしましょう。

あなたならどのように答えますか?

 

『上はお空で、下が砂だよ』

このように説明してしまうと、物事を全体的にとらえる子どもは

『上』そのものが『空』という意味で、

『下』そのものが『砂』だと覚えてしまうかもしれません。

それは困ります・・・。

 

『ボールが落ちる時、始まりの位置が上で、落ちた時の位置が下だよ。』

そのような説明の仕方をすると、『位置』という言葉と『上・下』という言葉がどうやら関係を持っているのだろうということを子どもは自然に覚えます。

つまり『重力』という存在が『上・下』という意味を包みます。

このような意味を包むもの、それが『概念』です。

『上・下』とは重量や方向の意味する言葉なんですね。

 

それでは、『前後』はどうでしょう。

『進んでいく方向が前、進んできた方向が後』と言えば、『方向』という包んでいる言葉を活用すると説明しやすくなるでしょう。

 

それでは『左右』はどうでしょうか?

 

『お箸をもつ手の方向が右だよ。反対の手が左だよ。』

そのように説明することが多いと思いますが、実は正しい方法ではないのです。

 

利き手が定まるのは、シンボル形成が進むことよりも後のことです。

形を見て、その形に関する音・声の情報を覚える方が早いのです。

 

そのため、『利き手』という概念で説明されることは、

発達レベルとして子どもは既に理解できている概念ではありませんので、

むずかしい意味に、さらにむずかしさを重ねている可能性があります。

残念なことに、左と右はその差をはっきりと分ける概念・価値が乏しいのです。

(『裏表』も左右と同じ特性のある言葉です。)

 

それが理由で、方向を認識する時でも間違いが頻発するのが

『左右』と『表裏』の方向・位置関係です。

 

・左右反対の字(鏡文字)を書く

・靴の左右を間違える

・服の裏表を間違える

 

子どもによく見かけては、よく注意することかと思います。

 

鏡文字を書くからといって学習障がいだとは限りません。

でも、

『概念』を認識する力を高めるような機会を子どもに提供せずに、

子どもに『見本の字』をみせてばかりの教え方をするとどうでしょうか?

 

繰り返し真似をして、字が書けるようになったとしても、

『空間を認識する力の弱さ』は残ったまま進んでしまうかもしれません。

(字が書けるようになったけれど、靴の左右は間違えたまま・・・のように)

 

発達の順序は油絵の描く順序と似ているように思います。

 

黄金色に輝く夕焼けを描くならば、

先に目立つ太陽を描くべきか?

それとも背景の空を描くべきか?

背景の空ですよね。

 

細かい箇所から始めるのではなくて、

大きい箇所から始めること。

 

前に目立つものへ手を伸ばすのではなく、

それを大きく包んでいる後ろにあるものを感じさせる力。

 

大きなことから教えることが大切です。

 

大きいということは難しいという意味ではなくて、

単純ということでしょう。

 

 

週末、子どもを連れてどこへ出かけましょうか?

 

華やかで有名なテーマパークもいいけれど、

名前もないような森や海や川もオススメです。

 

読めるような具体性はないけれど、

抽象的に感じさせてくれる力があるでしょう。

 

 

subacoで学べることってなんでしょう?

 

私たちが子どもたちに教えるべきことってなんでしょう?

 

それは私たちが大人になっていく過程で忘れてしまったことなのかも知れません。

 

 

どうして、まっすぐ歩けないの?

・・・はじめて歩いた時の感動を覚えてる?

 

どうして、言葉が出ないの?

・・・物に名前があることを知った時の驚きを覚えてる?

 

どうして、我慢ができないの?

・・・人に信じてもらえた時の喜びを覚えてる?

 

 

今の日本の社会では

発達に遅れがある子どもたちや、

社会的技能に劣りがある大人の方たちは、

それが無い人たちに訓練されたり、応援されることが多い現実です。

私たちsubacoも同じです。

 

しかしながら、

ハンデが無いと感じている人たちも、

実はハンデのある人たちから暮らしやすさを与えられているでしょう。

エレベーターも、コンピューターも、スマートフォンも。。。

 

世の中、少しずつ変わっています。

来年は『障害者差別解消法』も施行されます。

 

20年前まではハンデのある人の暮らしを支援する法律すらありませんでした。

これから先、どのように変わっていくのでしょうか?

20年後は『差別』という言葉がどのように生まれ変わり、進化しているのでしょうか?

それを変えていくのは誰でしょう。

私たちです。

 

未来で輝いているのはだれでしょう。

大人になったこの子たちです。

 

この子たちが世の光になるように。

 

 

今年一年、subacoをご利用・ご関係頂いた皆様に深く感謝申し上げます。

良いお年をお迎え下さいませ。

 

 

 

A very Merry Xmas
And a happy New Year
Let’s hope it’s a good one
Without any fear

Happy Xmas (War Is Over)-John Lennon