大阪市天王寺区・西区の
児童発達支援・生活介護「スバコ」

板書。


subaco studyチームの竹本トレーナーの報告を紹介します。

 

 みことさんのアプローチについて相談させて頂きます。みことさんは、中学1年生の女の子です。課題に対しては、一人でもじっくりと考えながら、やり終えるまで一度も注意がそれることなく取り組むことができています。WISC-Ⅳでは、他の下位検査よりも特に理解の評価点が低い結果がでていることが特徴的だと思われます。保護者の主訴は「板書のスピードが速くなってほしい」とのことです。CARDの検査では、文章の中の単語の読み取り、単語の意味理解、統語の理解、文章の内容理解共に問題は見られませんでした。PVT-Rでは、11歳1ヶ月と、年齢に対して少し語彙が少ない結果になっています。
 みことさんが漢字を書き写す姿を見ていると、角度や細かいはね等にじっくり時間をかけて書き見直している様子が見られました。板書のスピードがゆっくりである原因は、みことさんが細部にこだわってしまう所にあるのではないかと思われました。
 保護者にお話を伺うと「板書が遅いのはきれいに書くことへのこだわりだと思う」「会話をしていて突然違うことを言ったり、テレビを見ていて急に叫ぶことがあるが本人に聞いてもなぜだかは言わない」とのことでした。
 板書のスピードを速くするためには、本当に原因はこだわりにあるのかを調べること、こだわりが機能面でどういったところからくるのかを評価していきたいと考えています。

 

竹本舞代

 

 

フォーマルな検査とインフォーマルな検査がうまく組み合わさって評価されているように感じました。

 

観察をもっとマクロに書写の『動作』の実用性についてから始めることが大切だと思います。

速度性や流暢性、社会容認性、耐久性、正確性など、課題や環境に求められる条件に対して能力が満たしているかどうか?

それを観察することがマクロな評価です。

動作は環境や課題に対して応じている本人の能力のカタチのようなものですので、

この場合、どんな条件(環境や課題)の下で書いたのかが大切です。

 

 

早く書く事を課題にしたのか?

丁寧に書く事を課題にしたのか?

 

 

それを明らかにすることで、注意の限局に問題を抱えているかが評価できると思います。

 

特に条件が問われていないのであれば、まだ特別なことは述べられませんので、機能的な弱さの原因を考察するよりも、検査の設定について更に深めていくことが療育上、大切になる評価だと思います。

 

 

板書の困難さは鍛えるというよりも、楽に板書出来るよう補うという考えでアプローチすることも大切な援助だと思います。

鍛える、ではなく、助けるという概念・感覚です。

板書や会話の目的とはなんでしょうか?

情報や感情を共有することにあると思います。

目的が遂行できることが大切ですので、板書が苦手な人には『どうすれば板書がしやすくなるか?』、『どうすれば内容がうまく伝わるか?』を考えアプローチしてみましょう。

みことさんの特性に合わせた板書の促し方、内容の伝え方を考えてみて、実践してみましょう。

そして実例をつかめると学校も保護者も、そして本人も自信や期待が持てると思います。

コツコツ、深く深く、穴を掘るような評価・アプローチ・やりとりを進めていきましょう。

 

 

子ども達は出来る限り努力するべき点に対して、励むべきであり、

それがどの点なのかが子ども自身で分からない・気づきにくい場合が多くあるように思います。

それを示していく役割が私たち大人・指導者にあるのだと思います。

 

 

ハンデを抱ええる板書に対して努力を向けることが適切なのか、検討する必要があるのかもしれません。

 

 

弱みをカバーできる環境を立案して、弱みに対する努力の割合を減らし、

本当に受け取るべきものに努力を割くことも、本人が『学び』を楽しむ上で必要な援助だと思います。

 

 

教室で伝えたいものは知識であり、推理であり、情報であり、内容であり、

それは最終的に子どもたちがこれから生きていくための世の中のルールであり、

辛さを楽しさに変える生き方のヒントでもあると思います。

 

 

学ぶことが大好きで、何にでも果敢に挑戦し、失敗してもめげずに努力する子

 

そんな子どもに育ってもらえるように。

 

 

今週も1日1日を大切にしていきましょう。

 

 

 

 

Well, come on pretty baby won’t you walk with me
Come on pretty baby won’t you talk with me
Come on pretty baby give me one more chance
Try and save our romance
Slow down

Slow Down – The Beatles