大阪市天王寺区・西区の
児童発達支援・生活介護「スバコ」

洗濯物が干せるといいな。


今回の活動記録はsubaco kidsの紙谷先生の活動報告を紹介させて頂きます。

いつもの長い文章ですが、お時間がある方はどうぞお付き合い下さいませ♪

青色の文が紙谷先生の報告文で、黒色の文が私のコメント文です。

 

ゆうき君

フラッシュブンブンの活動を行いました。上肢の協調動作を見るためにしてみました。

 

ここからが問題志向の始まりですね。

大きく観ようと考えるのであれば『上肢の協調動作』でよいのかと思いますが、運動による操作物が『フラッシュブンブン』と定められている活動です。

そのため、『上肢の協調』で言葉(志向)をスタートするよりも、もう少し詳しく『○○の協調動作』と掘り下げても良いと思いますよ。

それでは『○○の』が具体的にどのような言葉(志向)がふさわしいのか考えていきましょう。

そのことに対して、今回は以下にコメントさせてもらいますね。

 

始めは袋の裏の遊び方の説明を見てもらい、行いましたが、その説明では難しかったようです。

 

良いですね!教具が入っている袋も教具にする。

素晴らしいと思います。

袋は物を入れるための物ですが、その物に説明書きを加えるという2重の意味をもたせているということに気づきにくい児童が多いです。

どうしても、衝動的に玩具を早く出したい!と企画してしまい、説明書を無視してしまいがちになりますね。

説明書が袋と別々に用意されていると、『説明書があること』を強めに意識することが出来ますので、説明書を読むという行動も企画しやすいと思います。

そういった説明書を確認する行動の企画(プランニング)に弱さがある児童にとっては説明書と袋が一体になっている玩具は関わりにくい環境なのかもしれませんね。

透明な袋に入っている玩具と袋に書かれている説明文を同時に発見できる注意(同時処理)が伸びれば良いですね。

 

私がゆうき君の前で見本を見せて、ゆうき君におこなって貰いました。

 

ここ悩ましいですね。

見本を見せずにまずどうするのかを観察したいところですね。

でも、本人の注意(おもしろそうな遊びだな)を高めることが目的でモデルを示したのですよね。

それは大切ですよね。

しかしながら、フラッシュブンブンが回って光ると言う魅力を示したいのであれば、iPadでコマが光る光景だけを動画で見てもらうことも運動企画を高めるためには良い提示方法だと思います。

紙谷リーダーの見せ方だと、手本(回しかた)も見せてしまっているので、援助量が多めになってしまっているのかもしれませんね。

本人が分かりにくいところだけを、特別な方法でお助けする、そんな関わりを是非行なってみて下さい。

本人のやりがいや自信・満足感に繋がってくると思いますよ。

 

両手の手関節を同時にまわすのが難しいのか、コマを回転させ紐を中々ねじれませんでした。

 

この表現だと、推測と事実が混じっていますね。

観察したことは様子で述べましょう。

原因については推測として考えを述べましょう。

できれば文章単位で考えたほうがいいと思います。

『〜だから〜でした。』という読点で区切る表現ではなくて、

『〜でした。そのわけは〜だからです。』と句点で区切る表現が始めは大切だと思います。

私だってまだまだ句点で考えるレベルですよ。

私もまだまだこれからです。。。

 

 

ちなみに『両手の手関節を同時にまわすのが難しい』ということはここで意味する協調とは『右手関節と左手関節の運動速度と運動方向と同期』になりそうですね。

 

 

何度かおこなっていると、利き手の手関節を回して、非利き手を固定して、まわす様子が見られました。

 

これは運動企画ですね。

本人なりに考えたのですね。

素晴らしいですね。

でも、協調運動としては利き側のみの運動に転じていますので、本人のパフォーマンスは下がっているように思います。

難しさを覚えた結果、本人はさらに巧妙に協調するよう運動を調節したり、企画するのではなくて、ちょっと簡単なプランを選択したのかも知れませんね。

この辺りで、『ネガティブ』な方向へと流れてしまっているのか、

もしくは協調運動を非利き側は動的、利き側は静的な運動に切り替えて、

利き側の固有受容覚のフィードバックを高めているのかも知れませんね。

あきらめかけているのか、それとも できるように感覚調整をしているのか、

その時の本人の視線や行為、発声などを確認して見定める必要があると思います。

見定めて、頑張れ!と声かけで励ますのか?

それとも、視覚情報や他動運動などを加えてヒントを与えるのか?

このあたりの部分がアプローチの分岐点になってきそうですね。

 

上手くいけば、コマが回転して光るのですが中々光らせれませんでした。

 

できる時があったり、できない時があるのですね。

この違いは何の違いなのか?

本人はその差を固有感覚でモニターすることができているのか、学習できているのか?

この場面は『できるようになる遊び』が『できる遊び』になるか『できない遊び』になるかの分かれ道になりなってそうですね。

 

手を良く見ていると、本来は輪っかに指を入れてまわすのですが、ゆうき君は母指・示指・中指の三指でつまむように輪っかを持っていたので、輪っかに示指をひっかける事が出来ればもっとスムーズに出来るのかなぁ、という印象でした。

 

となると、『協調運動』だけが問題とも限らないということになりますね。

指の機能が獲得しきれていないのかも知れませんよ。

 

輪っかに示指をひっかける事

 

紙谷リーダー、大事なところを観ているではありませんか?

指が物を身体に近づけるための4機能『つかむ』『はさむ』『つまむ』そして『ひっかける』。

この4つの動詞をつかって手指がうまく物に対して話しかける力。

それが指の話力ですね。

今回の活動を踏まえて、子どもにとって この遊び(活動)は指?手のひら?手首?など詳しくどの部位で操作するものなのかを紙谷リーダーが詳しく説明できるよう近づくことがネクストステップなのかも知れませんね。

貸し出し期間中は自宅に持って帰っても構いませんので、考えながら遊んでみて下さい。

それが遊びの機能分析につながります。

 

お母様とお話をした中で、洗濯物を自立に向けて自分で干せるようになったらいいな。と言うお話を聞きました。

洗濯物を干す際には手関節の動きが必要になってくるので、そんな動きを含む課題が出来ればと思います。。

 

『洗濯』つまりADLですね。

生活関連動作(APDL)の1項目です。

そして、洗濯の動作を構成する『干す』という相の動作ですね。

その『干す』という相の動作の中にはどのような運動があるのか、

ハンガーを握る、襟首をひろげる、ハンガーを襟首に入れる、袖穴に押し入れる

このような運動の中にも『協調運動』が必要ですし、『測定』も必要です。指も『つまみ』や『つかみ』が必要になりますね。

 

JPANのおっとっとで、目と手の協調性や上肢の運動の切り替えなども見ていけたらいいかなと思います。

 

そうですね。他にも思いつく検査を考えてみて下さい。

にぎりくらべやなかよくおひっこしも行なってみましょう。

検査は機能障害名の仮説をいくつか立ててから行ないましょう。

そして、いくつかの仮説が消去されて原因が特定できるようアセスメントを進めていきましょうね。

それが本人の理解につながって、やりがいのある課題作り、やってよかった課題作り、自信につながる課題作りになればいいですね。

自宅で洗濯物を干すことができるようになること。

家庭での自立がやがては社会の中での自立につながるのだと思います。

家事の参加と家族への参加

仕事の参加と社会への参加

たかがフラッシュブンブンですが、

されどフラッシュブンブン。

たかが遊びですが、

されど遊び。

 

よい活動を提供していきましょう。

 

素敵な報告だと思いました。

 

観察と事実を分けること。

遊びに必要な機能を分析すること。

指の先から肩・頚・頭・体幹くらいまで分割してみること。

これらを意識して本人と歩み寄って前に進んでいくことができれば素敵だと思います。

 

来週はゆうき君にとって紙谷先生にとって さらに少し 素敵なことが訪れると良いですね。

長文にお付き合い頂きありがとうございました。

 

 

 

 

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