私宅監置

ボクがなんかしたんやろか?
悪いことでもしたんやろか?
嫌われることしたんやろか?
なんでやろ
なんで学校行かれへんのやろ?
なんで友達と会われへんのやろ?
疫病のせいなんやろう
訳は教えてもらっても
ボクに理由があるように思うんよ
ちがうかなぁ
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『私宅監置』という時代制度がありました
明治から昭和中期まで
日本で許されていた精神障がい者への措置です
「私人が行政庁の許可を得て、私宅に一室を設け、精神病者を監禁する」という制度です
今の日本社会では
精神障がいを有する人が医療を必要としても
一般的に入院は強制でなく任意の位置づけですが
約100年前は強制収容が合法でした
収容が当然とされている社会であっても
精神障がいで入院・入所できる施設は
全体人口の3%に過ぎませんでした
1910年に
精神科医の呉秀三先生は実態調査を開始し
1918年に
『精神病者私宅監置ノ実況及ビ其統計的視察』を
内務省に報告します
報告書で呉先生は
私宅監置を『国家の恥辱』と訴えます
そしてこの言葉を残します
『この病を受けたるの不幸の外に、この国に生れたるの不幸を重ぬるものと云ふべし』
翌年1919年に
精神病院法が制定され
私宅監置は法的に廃止へ向かいます
今、その時から100年が過ぎます
障がい種別に関わらず
またその有無に限らず
医療・福祉は進歩しています

でも
自分が生まれていない時代と
今暮らしている時代を比べて
この国に生まれた幸せを実感することは
容易いことではないように思います
コロナショックのなか
報道を知って不安になることもありますし
不運な時代に生まれたと感じたりもします
卒業式・入学式がない子どもたち
友達に会えない子どもたち
この時代に生まれた子どもたちが
不幸と感じないように
先人から与えらたバトンを握り
発達の支援を
日常生活の支援を
届けよう

I don’t know reason,
I can’t say sweet, sweet words
I wish, I wish you were close to me
Hi-Standard “Close to me”