言葉が増えるその前に。
くまのプーさんの写真を見て『くまのプーさん』と言葉にすることができる子ども。
プーさんの隣に移るピグレットを見て『ピグレット』と呼ぶこともできます。
それでは、この2つは?と聞かれると、
答えが詰まってしまう。
subaco studyではそんな子どもたちが多く通っています。
私たち(定型発達)は目の前にある物事を見て、
見た通りの情報だけでそれが何であるかを考え、
言葉にしたり、行動することはしないでしょう。
くまのプーさんだけを見て、『くまのプーさんだ』と思うだけではないでしょう。
『ディズニーランドのキャラクターだ』
『クマだ』
『生で見たことがあるぞ』
『映画でみたぞ』
『妖怪ウォッチのほうが好きなんだけどな』
などと色んなことが思い浮かんでいるんです。
これを内在的意味と呼びます。
内在的意味とはその言葉を聞いて想起される内容です。
それではその反対の外在的意味とはなんでしょうか?
それは外の世界(現実)でその言葉が示している対象です。
つまり、プーさんが『プーさんと呼ばれる対象』であるということです。
ASDの特性やその疑いがある子どもたちに対して、
『くまのプーさん』という対象を見せて『くまのプーさん』と呼称してもらうことに何の意味があるのでしょうか?
『りんご』を見て『りんご』と呼べるようになったことでどのように生活がしやすくなるのでしょうか?
『くまのプーさん』と『仮面ライダーフォーゼ』は何がどう違うのか?
この子にとっての『くまのプーさん』と先生の『くまのプーさん』はどう違うのか?
この子が今、見ている物から思い浮かぶことと、周りにいる大人やお友達が思い浮かんでいるであろうことを想像しながら、互いの想像を照らし合わせて言葉にすること。
こんなトレーニングが社会に参加するために必要な子どもたちがいます。
これって『国語』でしょうか?
そうでなければ、どの教科なんでしょうか?
ソーシャルスキルトレーニング(SST)と大きな呼び方で整理してしまって良いのでしょうか?
定型発達の子どもたちがなんとなく学んできたことを、
頑張って勉強する子どもたちがいます。
クマのプーさんをみて、特別に問えば『どうぶつだよ』って呼べたこの子に拍手。
頑張ったね。
頭の中のファイルが増えると便利だよ。
また来週だ!
追伸:『だるまさんがころんだ』は文章でもあり、ゲームでもあるんだよ。
ゲームの中にはルールっていうのがあるんだぞ。
見えないものが見えるかなぁ?
A taste of honey… tasting much sweeter than wine.
A Taste of Honey – The Beatles