話せない 悔しさ。
言葉の出ない子どもたちがスバコにいます。
自閉症の子どもたちは特に言葉が出ません。
そんな子どもたちにとって 言葉が出る人はどんなふうに見えるのでしょうか?
笑いながら意味の分からない音を口から発している人がいるんだ。
楽しそうにしているんだけれど、何を言っているのか 分からないんだ。
最近、分かったんだ それが『言葉』だっていうこと。
なんで分かったのかって?
それは ボクが話せないってことに 気づいたからさ。
自分はこの人たちの楽しいと思いあえることが、分からないんだ。
それでも見つけたんだよ。
ボクが誰かと同じことをして楽しいと思えることが 見つかったんだよ。
ここに来て ボクが投げたボールをお兄さんがボクに投げ返してくれるんだ。
なんて呼ばれてる遊びかボクには分からないんだけど、
これをやっていると なんだか気持ちが膨らむんだ。
不思議な遊びなんだ。
面白いんだよ、この相手のお兄さん。
ボクが転がしたボールを走ってとってくれたり、
すべって転んでとってくれたりするんだ。
おかしいでしょ?
だから、ボクおもしろくて、おもしろくて。
もっとやって欲しいから、もっと投げたんだ。
そしたらね、そのお兄さんね、いっぱい投げ返してくれるんだ。
分かってくれている気がしたんだ、
ボクの気持ち。
忘れた気になれるんだ、
ボクが話せないってこと。
ボクの口から 他のみんなみたいに言葉は出ないけれど、
もし、しっかり話せたら こんな気持ちが続くのかな?
うらやましいな。
できれば、ずっと終わらないで欲しい。
ずーっとボールを投げていて欲しい。
ボクが投げたら何度でも受け取って欲しい。
ボクを笑わせて欲しい。
ねぇ、みんな、
ボクのことを 話せないから、一人が好きな子だなんて思わないでね。
ボク話せないから、話さないだけなんだ。
でもさ、
ボクの大好きなお兄さんやお姉さんが、
ボクの分からない口から出る言葉を使って 他の子と笑っているのを見たら、
すごく悔しくなるんだよ。
嫌な気持ちになるんだ。
今日は我慢できなくて、壁をたたいてしまったよ。
みんなをビックリさせたみたい。
ごめんなさい。
ボクのこと嫌いになったかな?
ボクのこと 恐いと思ったかな?
明日は遊んでもらえるかな?
明日もボールを投げてみよう。
伝わるかな?
ボクのこと。
Every breath you take.
Every move you make.
Every bond you break.
Every step you take.
I’ll be watching you.