道具を使う。

どうして人と人は違うのだろう?
人は一人一人違って当たり前、
そんなことを不思議に思ったことはありませんか?
『自分の同じ顔の人が世界に2人いる。』
そんな都市伝説も聞かされたこともあります。
どうして一人一人、顔や背丈が違うのでしょうか?
どうして一人一人、趣味が違うのでしょうか?
みんな同じ顔で同じ髪型、同じ言葉で、同じ考え方を持っていれば、
『個性』という言葉なんて生まれないでしょうし、
『障がい』だって存在しないでしょう。
私たちはどうして、隣の人と少しずつ違いがあるのでしょうか?
『遺伝子やDNAの配列が違うから』と言ってしまえば確かかも知れませんが、
それで自分が『人』として納得できるかというと難しいように思います。
生命科学では『頭蓋骨』の形が違うからという説もありますし、教育学や心理学では『育ってきた環境』が違うからという説もあります。
subacoに通う子どもたちやそのご家族の抱える悩みは『他人と同じである』ということでなく、
『他人と違う』ということです。
ですので、subacoで学ぶ子ども達と関わることで、
『人はなぜ人とそれぞれ違うのか?』という理由について、気づかされることがあります。
『人には周りの人と同じでありたいと思うタイプと、同じになりたくないと思うタイプがいる』
ということです。
それは『2組』で分かれるのではなく、一人の『人』の中にも『考え方は同じでありたい、でも見た目は違いをもちたい』、『好きな食べ物は同じでありたい、でも飲み物は違う』そんなようにさらに細かな違うがあるのだと思います。
写真の積み木は『形と重さ』という性質を活用した積み木です。
この積み木を作った人には『他にはない積み木を作りたい!』と思ったのかもしれません。
『木を積む』という目的は同じですが、『規則』が違うのですね。
この規則は手で重さを感じたり、視覚や上指の関節で空間を理解する必要があります。
これは私たちに備わっている人体の『機能』です。
この『機能』についてはある程度、人は共通していること多いのですね。
だから、積み方の異なるこの積み木でも、作った人と同じ機能を持っているので、
この積み木を作った人ではない人が、この積み木を『形や重さ』の規則に沿って積むことが出来るのでしょう。
(少しややこしいですよね。)
大切なことは、ある程度人の持つ『機能』という部分は共通しているということです。
『知能』について素晴らしい研究結果を残したロバート・スタンバークは『知能が高くなる現象は備わった固定的な能力ではなく、目的に合わせて応じる能力に生じる』と説明しています。
どういうことでしょうか?
『障がい』といわれると『何かあるべきものがない』と思ってしまわれることが多いのかも知れません。
でも、それは『違う』んです。
『目的』がない、
『目的』が見つからない、
『目的』に届かない。
これが大きな問題であり、発達・成長するということに大切な鍵になるのだと思います。
『やらされる』ということが苦手であれば、
『人にやらせる』ようなものをやってみるのも良いかもしれない。
それが君に『向いている』ことなのかも知れないよ。
この変わった積み木を作った人のように。
そのためにはまず、道具を使いこなせるようになることが大切だ。
君が持っている機能という道具があるよ。
君が手に持っている木という道具があるよ。
木でできた 鉛筆やお箸や筆にトンカチ。
道具で個性を育てよう。
Baby’s good to me, you know,
She’s happy as can be, you know,
She said so.
I’m in love with her and I feel fine.
I feel fine – The Beatles