おおきくなったら何になる?

『大人になったら何になりたいですか?』
この質問に子どもが『今のままでいーよ』と答えた時、
皆さまはどうしますか?
想像することが苦手?
真似をしたり、憧れる力が弱い?
自分の能力に対する自信が弱い?
そうだとしたら、さらに質問いたします。
『あなたは空を飛べることができますか?』
いかがでしょうか?
『できません』と答えて当たり前なのかもしれませんね。
それならば、それならば、
さらにご質問。
『いつか、あなたは空を飛べることができますか?』
いかがですか?
『できません』と答えることが当たり前なのでしょうか?
『いつか』という言葉の意味が子どもにとって理解に難しいかもしれませんが、
ぜひ、子どもにこの答えを尋ねてみてください。
私たち『人』には計り知れない力があるように思うのです。
『人は空を飛べない』という答えが生物学的に正解であっても、
この世界の科学が一つでない限り、それは正解にならないのでしょう。
私たちの心は空を飛ぶ鳥に憧れるのです。
鳥のように大きくて青い空を飛べたらどんなに気持ちが良いのだろう?
そんな気持ちの持ち主の鳥に憧れて、
るで鳥の鳴き声のような声を出したり、
鳥が羽ばたくように自分の腕を動かして真似をしたりするのです。
本当は、別に、鳥になれなくても良いのかもしれません。
空を飛べるようになった鳥でもニワトリのように地上の生活を選んだ命もあります。
向上心とは何でしょうか?
『今のままでいたい』と答えた子どもが、間違っているのではないのかもしれません。
自分の外のものに憧れる人もいれば、
自分の内に憧れを潜める人もいるでしょう。
翼を人に見えるように自分の体の外側につけている子どもいれば、
人に見えないように自分の内側につけている子どももいるでしょう。
決して、隠しているわけではないのです。
見せる理由がないのかも知れません。
つまり、『大きくなったら何かになりたいと思っていない』のではなくて、
今は今で頑張っているのでしょう。
例えば、
左手でお箸を持つ子どもがいます。
大きくなったら左手で持てるようになりたいと思っているのでしょうか。
そうではなくて、今は今で、左手を選択しているのです。
このような場合、右側で持つことを強制すべきでしょうか?
自分の外の人に合わせる気持ちに従えば、右側で持つべきなのかもしれません。
でも、
自分の脳の機能を考えれば、両側で持てるようにしておいたほうが良いのかもしれません。
そうしておけば、仕事も早く、たとえ高齢になり脳梗塞で片麻痺になっても反対側の手でお箸が使えるでしょう。
自分ができないことができるようになった瞬間は特別です。
何の喜びにもかえ難い思いでしょう。
人に教えられて出来ることでもないように思います。
我々のような支援者ができることは専門的な知識を活用して、
本人が『惜しい』と思える結果にまで導くことだと思うのです。
その状態を本人が『悔しい』と感じられるかどうかなのだと思います。
『あともう少しで空を飛べる』と思えるようにならない限り、努力は続かないのかもしれません。
惜しいと言われるところまでは私たちの責任です。
そこからはどの子も一人旅なのかもしれません。
自分の自信を手にする旅にいざ出発。
負けるな自分。
頑張れ自分。
失敗したっていいじゃないか。
負けたっていいじゃないか。
悔しさから逃げなければ。
昨日までできなかったことが、今日はじめて出来るようになる。
そんな毎日の繰り返しがあれば、遠い先の自分に期待できるようにもなるのでしょう。
『大人になったら何になりたいですか?』
その答えもその子なりに変わっていくのではないでしょうか。
何回でも言ってあげるぞ。
いつまでも言ってあげるぞ。
『おっしーなぁー!』
『やりなさい』とは言いたくないなぁ。
『めだかの兄妹』
めだかの兄妹が 川の中
大きくなったら 何になる
大きくなったら コイになる
大きくなったら くじらに
スイスイ スイスイ スイスイ スイスイ
スイスイ スイスイ スイスイ スイスイ
だけど大きくなっても
めだかはめだか スイスイ