大人になる。

自分で気がつくこともあるけれど、
どちらか言われると、
人から気づかされることの方が多い気がしている。
頭をコツン。
また、自分で自分のアタマをたたいちゃった。
今でも実家のタンスの中に眠っている自分のアルバム。
赤ん坊の頃は立派に自分の指を吸っている。
小学生になれば、恥じらいもなく自分の股間に手をあてている。
その堂々たる姿がなんとも情けない。
中学になれば頭を手でかいている。
照れているのか、それが落ち着くのか。。。
それでも、ずいぶん歳をとったもんだ。
自分より若くみえる人が周りに増えたからね。
でも、どんなに自分が歳を重ねても、
ボクは子どもの君が思うほど、大人じゃないのかもしれない。
『しっかりしなさい!』って言わないでね。
頼りにされる人になりたい気持ちはあるんだ。
子どもの頃に芽生えた感動が今でも消えないんだ。
大人は冷静だと思っていた。
水たまりを見つけても遊んだりしない。
太陽で自分の影に追いかけられても平気なんだ。
いつか、ボクもそんな冷静な気持ちの持ち主になるのかな?と
子どもながらに大人の自分を描いていた。
それでも、今でも消えてなくならないんだ。
着心地のいいシャツを見つけたら、そればかり着てしまう。
なんなら、同じものばかり買ってしまう。
真面目にしなければいけない場所なのに、
にやけた表情をしてしまったり、
下を向いて話を聞いてしまったり、
それどころか、
サンダルで来てしまうんだな。
個性といえば個性だけれど、
それが自慢といえば嘘になる。
だって、損をしていることもあるような気がして。
それでも不思議だ。
こんな自分を真似してくれる子どもがいるんだ。
ボクが階段を登れば、その子も階段を登る。
ボクが滑り台から滑れば、その子も滑る。
だから、ボクも下手なことは見せられないな。
子どもに真似されちゃいけないことは、やってはいけない。
そんな気持ちに気付いた時、ボクは少しでも大人になれた気がした。
『しっかりしなさい!』
『気をつけなさい!』
注意する側が一番注意しているんだね。
大人になるって大変だね。
気を使っていくんだね。
たまには、子どもに戻りたいって思う時もあるのかな?
どうなんだろう?
ねぇ、先生。
ねぇ、お父さん。
ねぇ、お母さん。
『夏は来ぬ』
卯の花の、匂う垣根に
ほととぎす、早も来鳴きて
忍音(しのびね)もらす、夏は来ぬ