試練。

小さな頃から困り知らず
お腹が空いたらお菓子がもらえた
眠たくなったら布団もあった
寒かったらストーブがあった
暑かったらクーラーがあった
暇を感じないくらいテレビゲームができた
毎日同じ服ばかりじゃなかったし、
一緒に遊ぶ友達もいた
見たい映画もいっぱいみれたし、
車も手に入れたし、
家も手に入れた
旅行にだっていけるんだ
ボクはなんでも手に入れてきた
求めたものなら ほとんど全部さ
でも、自分が幸せだって思わないよ
安い苦労はしてないさ
ボクはなんとなく覚えている
初めて一人でズボンを履けた日のこと
『みて! できた!』って言ったんだ。
先生もお母さんもボクをほめてくれた。
うれしかった。
あの日から今日まで続いていると思う
今日からこの先も続いているんだろう
結婚もしたし、
子どももいる
求めることも変わっていくんだ
今の仕事はズボンを履くことほど簡単じゃないよ
でも、
あの日、ボクが幼い頃にズボンの練習をしていた気持ちと同じくらい大変さ
君ならできるんだ
試練に出会い、ボクらは進んでいく。
お母さん、ボクを産んでくれてありがとう。
この場所に連れてきてくれてありがとう。
試練、
それは目に見えないけれど
確かに与えられているんだな。
『春の小川』
春の小川は さらさら行くよ
岸のすみれや れんげの花に
すがたやさしく 色うつくしく
咲けよ咲けよと ささやきながら