大阪市天王寺区・西区の
児童発達支援・生活介護「スバコ」

始まりの終わり。


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日曜日はsubaco scoop!が開催されました。
ご協力いただいた関西医療学園理学療法学科 学科長 西守隆先生、新村先生、明比先生に深く御礼申し上げます。
関西圏の医療機関・福祉施設でご活躍されている先生方もご参加下さいました。
誠にありがとうございました。

今回も白熱した発表会になりました。

利用者本人さんの『問題点』に焦点を当てるのではなく、
『目標』に焦点を当てるアプローチ。
それが subacoの大切にしているスタイルです。

当たり前のことのように思うのですが、
それを現実にすることはなかなか難しいことだと思っています。

西守先生が今回の発表に『課題志向型アプローチ』とタイトルをつけて下さいました。

障がいを有する当事者さん(子ども・成人・高齢者)の機能や能力、社会的不利に
我々援助者が考えを向けていく関係ではなくて、
当事者さんが手にしている課題に援助者が目を向けていく関係です。

『問題点志向型』と『課題志向型』の違いを
当事者さんと援助者との関係の質的な違いだと捉えると理解しやすいかもしれません。

そのように単純に説明すれば、理解できるようなアプローチですし、
当事者さんの生活にとって、どちらが大切かを考えれば瞭然のアプローチだと思います。

しかしながら、現代では『問題点志向型』のほうが一般的で、『課題志向型』は新鮮に感じられるアプローチです。
なぜでしょうか?
はっきり言えることがあります。
『課題志向型』のアプローチの方が援助者にとって難易度が高いからだと思うのです。

課題が遂行できない原因を明らかにするためには、当事者さんが抱える問題点を理解する必要がありますし、それだけではなく、当事者さんが挑む課題をも理解する必要があります。

私たちの手にする科学や、与えられた知識によって
『どのようにして人は歩くのか?』
『どのようにして人は喋るのか?』
『どのようにして人は人と仲良くなるのか?』
などの疑問の答えを説明することが可能です。

しかしながら、
『どのようにして日本橋駅から谷町駅まで歩くのか?』
『どのようにしてお箸を持つのか?』
『どのようにして運動会に参加するのか?』
などの具体的な生活の課題を説明することは、
当事者さん自らが種々の能力を応用する流動的な力や、
援助者が様々な科学的・経験的な知識を応用する力に任されているように思います。

歩けない子どもに、どうして歩けないのか?
喋らない子どもに、どうして喋らないのか?

それを説明することは、難しいことですが、それなりの知識を持っていれば可能なことです。

知識があれば、アプローチすることも容易でしょう。
知識は根拠にもなりえますので、知識をもとにしたアプローチは信頼されるものです。
そのため、理屈だけでも当事者さんにとっては価値を感じるものなのかもしれません。

当事者さんと援助者が真に関係するためには
援助者がどうしてそのように当事者さんと関わるのか?
その根拠は必要でしょう。
でも、それは最低限として必要なことだと思うのです。

根拠がないのに関わることは改めるべきですが、
最低限のものだけを用意した関わり方も改めるべきだと思います。

私たちには知識を与えて下さった恩師がいます。
学ぶことを喜びに変えてくれた それぞれの母校があります。

そこで得た最低限の知識を基に、今、目の前にしている当事者さんと良き関係を築けること。
当事者さんが目を向けている方向に、自分たちも目を向け、
望んだ未来が実現できるように共に建築していくこと。

大きな達成ではないかもしれません。
一つ一つを具体的に積み上げていくことが大切なアプローチだと考えています。

とあるスーパーでリンゴを自分の手で掴むことができたHさん。

会場にいる皆さんが一つの気持ちになれたような気がしました。

涙が流れました。

派手なことはあまり起こらないsubacoです。
世の中からあまり光が当たらない世界かもしれません。

初めてsubacoを児童として利用されたFくんのお父さんの言葉が
今でも心の中で響いています。

『障がいを持っている子どもの親にしか味わえない喜びがある。』

当事者さんにしかない光があって、
その光の色をより多くの人たちが気付き始め時、
きらめいているこの社会が
より一層輝きをましていくのだと思います。

今日から大阪市西区でsubaco kids靭公園が開所します。
静かな静かなスタートです。
目立たない、目立たない事業所です。

この子らが、
この人たちが、
ずっと輝いていられるように。
もっと輝いていられるように。

So, come on back and see.
Just what you mean to me.

I Need You – The Beatles