大阪市天王寺区・西区の
児童発達支援・生活介護「スバコ」

【2016年2月号】すばこだより「もしものときは自制戦略」他


厳しい寒さも少しやわらいできた今日この頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?2月が終わると、卒業・入学・進学の季節がやってきますね★わくわく、どきどき、そわそわ・・・?桜の季節はもうすぐです!! 

subaco switch

「もしものときは自制戦略」

心理学者のウォルター・ミシェルは「セルフコントロールの鍵は前頭葉を先に作動させる訓練であり、そのためには、『if-thenプラン(こうだったらああする)』という決まりを作っておくこと。」と自制 するための戦略を教えてくれています。switchでもこの考えに基づき「if-thenプラン」を使って自制する力を強化します。

Sくんは、お母さんとトレーナーがお話をしていると割って入ったり、一人で帰ろうとしたりと落ち着きがなくなってしまいます。 そこで、「if-thenプラン」!

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トレーナーは、Sくんに「お母さんと先生がお話しているときは、Sくんはどうしようか?」と尋ね、お母さんとトレーナーがお話している時間に退屈でそわそわしてしまう自分の気持ちの変化を予測してどう過ごすかを考えます。その変化に対して、「お話が終わるまで、今日はこの教具を使って待っていよう」というように事前に何をするかを決めておくのです。今はまだ、トレーナーと一緒に時間の過ごし方を考えていますが、「今日はこのおもちゃで遊んでおく」というふうに自分で「if-thenプラン」を企画することができるようになれば、落ち着いて待てるようになっていくでしょう。前出のウォルター・ミシェルは、こうも述べています。「考え方を変えると、どう感じ、どう行動するかも変わるのです。」Sくんは待ち時間をどんなふうに変えていくのかな?その力を信じて、一緒にがんばろう!(西原)

★ワンポイント★

if要素を作るためには、when(いつ)とwhere(どこ)を設定します。次に、how(どのように)を具体化することでthen要素が決定します。Sくんの場合であれば、when:お母さんとトレーナーが 話している時、where:switchで、how:教具を使用しながら座って待つ、となります。

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「障がいって何によって決まる?」

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トレーニングでは現在、メンバーさんが自分の荷物や洋服を収納出来るようにクローゼットを作成しています。 車椅子に座っていてハンガーに手が届かない、手を高く挙げる事が出来ないなど本人の機能や能力だけを障がいと判断してアプローチするのではなく、「◯◯があれば出来るのになぁ」と『やりにくさ』を改善する事で能力を最大限発揮しながら生活を送れるように個別に棚の高さを変えるなどクローゼットという環境に対してアプローチを行なっています。

このように障がいを持つ人が抱えている不利は個人の能力の問題だけではなく、周囲の環境が原因となる場合もあります。車椅子で移動出来る方にとって駅にエレベーターが設置されていれば一人で地上と地下を移動する事ができ、スーパーの通路の幅が広く設定されているだけで買い物を可能としてくれるのです。「出来ないから障がいがある」を「環境が障がいになってやりにくい」という考え方で健常者と同じように生活し、社会参加出来る環境を広げていくため視野を広く持ってアプローチをしていきたいです。(中井)

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ケンケンって大切!?

皆さんは初めて「ケンケン」が出来た時のことを覚えていますか?実は「ケンケン」は発達にとても意味のある遊びです。「ケンケン」の素晴らしさについて考えてみましょう。

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現在5歳のY君は近隣の幼稚園に通っています。身体を使う活動が大好きな男の子ですが、ケンケンやキックボードなどの活動が苦手なようです。「ケンケンパ」の活動を行ってみると、片足でジャンプすることや「ケン」「ケン」「パ」のリズムに合わせて足を動かすことが難しそうです。特に、片足で着地する時に大きくバランスを崩してしまう様子がありました。

ケンケンは「姿勢をわざと崩すこと」を楽しむ活動です。「姿勢をわざと崩すこと」を楽しむためには、「姿勢を保つ」という運動技能が必要となってきます。Y君は片足立ちのような身体と床が接している範囲が少ない姿勢(支持基底面の少ない姿勢)で身体を動かすときに、重心が支持基底面の外に出ないよう重心の移動をコントロールすることが難しいのかもしれません。

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そこで、バランスディスクの上に乗り、床に置いたボールやクッションをバランス ディスクから落ちないよう拾ってもらいます。不安定な中でしゃがんだり手を伸ばしたときの身体の傾きから重心の位置の変化を認知してもらうのです。だんだん不安定な中でも楽しんで身体を動かせるようになってきました。「姿勢を保つ」という 運動技能が向上してきた証拠かもしれませんね。次の段階としてリズムに合わせて身体を動かせるように、Y君がんばろう!(河口)

《おしらせ》

3月のsubaco holiday も第2・4土曜日で開所致します。恒例となっておりますクッキングも含め、楽しいプログラムをたくさん用意して待っています!ぜひ皆様ご利用くださいね♩

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文章を読み解くカギは…!?

subaco studyに通うNさんは明るく活発な小学5年生の女の子です。Nさんには少し苦手なことがあります…それは、長い文章を読み解くことです。苦手意識が強く、字をみると「もういやだ~」と目をそむけてしまうNさん。小学校高学年になってくると、教科書に出てくる教材もだんだんと挿絵がない文章だけの記載に変わってくるので大変です。一見、スラスラと言葉を追って読めているようですが、なかなか意味の理解につながっていかないようです。

読みの検査を実施する中で、文章理解の戦略としてNさんは、【語の意味】や【語順】を用いているのではないかということが分かってきました。例えば、「りんご・木・おちる」とあれば、言葉の意味から「りんごが木から落ちたんだな」とわかったり、「ねずみ・ねこ・おいかける」であれば、「ねずみがねこをおいかける」と語の順番で理解していくことができます。ですが、さらに修飾が増えた複雑な文章になると、それら2つの戦略で読み解くことが難しくなってきます。そこで必要となるのが3つめの戦略、【助詞の理解】です。

助詞は、たった一字ですが名詞や動詞にある意味を付け加えたり、語と語を関係付けたりする役割を持っています。窓の外「で」、 窓の外「を」、窓の外「は」、窓の外「へ」…付随する助詞が違うと浮かんでくる映像が違ってきませんか?自分が部屋の中にいて窓の外をみているのか、あるいは窓の外にいるのか?中から外に出ようとしているのか…?助詞の理解には空間的に対象を把握していく力も必要となってくるようです。

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現在Nさんは、トレーナーが用意した文章を絵におこして紙芝居を作成しながら、助詞そのものが持つイメージをとらえていけるようトレーニングしています。まだチャレンジは始まったばかり♫ 最近では、文章には含まれていない登場人物の気持ちや情景についても、やりとりをしながら作成しています。読む楽しさを少しずつ感じてくれているかなぁ…?完成したらみんなにみてもらおうね♩(原)