【2016年4月号】すばこだより「理由があるから頑張れるねん!」他
2016年4月1日、スバコの新事業所「subaco kids 靭公園」が開所致しました!!!
今年も、新生活のはじまりでドキドキ・ソワソワ・ワクワク…?な春がやってきました!4月からはじまった新事業所「subaco kids 靭公園」も元気いっぱい、開所しております(^0^)♪今年度も、ご利用されている皆様とともに様々なことにチャレンジしていくスバコでありたいと思います。どうぞよろしくお願い致します!!
subaco switch
理由があるから頑張れるねん!
switchに通うT君は、座って大人を待つことを目標にswitchでトレーニングを行っています。最初はすぐに立ち上がってしまう様子が見られたのですが、今ではワクワクしながら、トレーナーの帰りを座って待つことができるようになってきています。座って待つことができると、ご褒美のラムネがもらえるからです。
人間の脳には神経伝達物質と呼ばれる神経細胞に情報を伝達するための物質があります。この物質が不足したり、正常に受け取れなかったりした場合に、情報伝達の不備が生じてしまい、座って待つことができずに、衝動的に情報を求めて動き回ってしまうということがあるのです。

情報伝達に不備があるのなら、「座って待つとご褒美がもらえるよ。」というルールを与えて、「立ち歩く」のではなく、「座る」「待つ」ことで神経伝達物質が放出されるような経験を意図的に強化することが、switchでの取り組みのポイントとなってきます。
ご褒美がもらえることで神経伝達物質の1種であるドーパミンが放出されます。ドーパミンはやる気の源になっているので、座って待つことがT君の「ワクワク」に繋がっているのですね。
今後は座って「考える」「想像する」という活動を高めるステージです。やる気の源であるドーパミンを武器に「ワクワク」しながら色んな事にチャレンジだT君!(重松)
subaco study
レゲエのリズムに合わせて!
R君はDJに憧れている高校生の男の子です。友達が多く、スマートフォンを使いこなしてコミュニケーションアプリのLINEでよくやり取りを楽しんでいます。そんなR君には苦手な事があります。かな単語を正しく入力することです。促音「っ」や撥音「ん」、長音「う」が抜けていたり、「っ」が「う」になってしまったりします。一番の苦手は、拗音「ゃ」「ゅ」「ょ」の後の促音「っ」で、例えば「ちょっと」が 「ちょうと」になります。LINEを送る際に、伝わりづらい、漢字変換が正しく出てこない、などの不便さがあるようです。

R君に、聞き取った単語を書いてもらう書取検査、発声方法や調音点の検査である構音検査、また仮名単語の音素数を数えることが出来るか、仮名単語内の音素を取り除いたり、入れ替えたりできるか、という検査を行いました。すると、歯茎硬口蓋の摩擦無声音という 「∫」の子音の後、「O」の母音があると、その後に続く「t」や「k」の破裂音が読み取りづらいという特徴が見られました。また、同じ条件下で、「ぎゅっ/と」という音節数は捉えられていますが、「ぎゅ/っ/と」という拍数は捉えづらいようでした。発声時には、このような間違いが見られておらず、R君は文字と音との対応関係に苦手がある音韻性のディスレクシアの傾向にあるとトレーナーは考えました。
R君は現在、聞こえた言葉を文字に照合するために、読みのプロセスの強化として音読を行っています。レゲエ好きでDJに憧れているR君は、いろいろな歌詞の読み込みと音読を行い、韻や拍を意識しタンバリンのリズムに合わせて歌詞を見ながら歌うことに取り組んでいます。
最終目標は、自分で作った歌詞を歌うこと。格好いいDJ目指して頑張ろうね、R君!(喜多村)
subaco kids
運動会で縄跳び、跳べるようになりたいな
皆さんは、縄跳びができるようになったときのことを覚えていますか?難しいな〜、どうやったら跳べるのかな、などいろいろ感じることがあったと思います。D君は明るく活発な5歳の男の子です。保護者様のお話では、今年の運動会では縄跳びを行なう予定でできるかどうか心配されている、とのことです。
そこで、実際に縄跳びを行うと、ぎこちなく1回1回止まってしまいます。D君は縄が頭上にきたときにジャンプをし、縄が足元にきたときには着地した状態のため、引っかかってしまいます。なぜ、このような跳び方になってしまうのか考えてみましょう。
まず、縄跳びを跳ぶためには、手では縄を回し、縄のタイミングに合わせて足を動かしジャンプする必要があります。回して、見て、跳んで、同時にたくさんのことを行う必要がありますが、うまく跳ぶためには『跳ぶ』という1つの動作の概念を相という下位レベルの運動に整理し、次に必要な相の運動を手前の相のどのタイミングで実行するのか、企画する必要があります。これは、シークエンス行為機能といい、D君はこの機能に課題があるのではないかと考えました。そこで、身体の動きを順序立てて行う必要のあるスキップを行いましたが、片足でジャンプした後にすぐに反対側の足をつきジャンプする特徴があり、企画して運動することに弱さがあるようです。

このシークエンス行為機能を高めるためにトランポリンでジャンプをしながら手を叩くアプローチを行いました。トランポリンでジャンプをして身体が宙に浮いているときに手を叩いたり、駆け足で右足が着地したときに手を叩いたりと手と足の動きを順序立てて動かします。はじめは上肢と下肢の動きが混乱してジャンプと同時に手を叩く姿も見られましたが、少しずつ上肢と下肢の動きを整理して動くことができるようになってきました。
苦手な縄跳びだけど運動会で披露できるよう一緒に頑張ろう!(河口 )
《おしらせ》
来月のsubaco holiday も毎週土曜日の開催となります。楽しいプログラム盛りだくさんでお待ちしています!みなさま、ぜひお越しください★
subaco training
subaco scoop!@関西医療学園専門学校
皆様は2月号のお便りでsubaco trainingメンバー、Hさんのお買い物についてご紹介させて頂いた事を覚えていらっしゃいますでしょうか?Hさんには脳性麻痺アテトーゼ型という障がいがあります。subacoで日々トレーニングを重ねて目標である牛乳パックとりんごを自分の手で掴み、スーパーで買い物が出来るようになりました。
そして先月26日、利用者様が目標達成に至るプロセスを発表する「subaco scoop!」を行いました。今回は関西医療学園専門学校理学療法学科の講師兼、subaco非常勤職員でもある新村PTと共にHさんの成果を発表するため、理学療法学科の実習室を特別にご用意して頂き開催しました。2時間に渡ってHさんの生活における全体像や障がいについて解剖学的・神経学的な 解説を行った他、評価についてご出席して頂いた教員やOBの皆様からもコメントをして頂いて自立と参加について みんなで考える貴重な機会となりました。Hさんによるりんごの把持実演コーナーでは、この日のために着用してきたスーツと大勢の受講者様から見守られる緊張感からか普段通りスムーズにりんごを掴む事が出来ませんでした。会場の皆さんが固唾を飲む中、最後まで諦めず課題と向き合った結果、時間は掛かりましたが床に落下させる事無くりんごを掴む事が出来て会場は感動の嵐でした。最後はHさんに対してご友人、ご家族様からのサプライズでメッセージを贈りました。
重度の障がいを抱えながらも一人暮らしをして福祉サービスを最大限活用しながら自立した生活を送るHさんにとって大きな参加の機会となりました。今回のsubaco scoop!にご協力頂いた関西医療学園専門学校理学療法学科学科長の西守先生並びにご教員の皆様、Hさんのご友人、ご家族の皆様に心より感謝申し上げます。(中井)