大阪市天王寺区・西区の
児童発達支援・生活介護「スバコ」

【2016年6月号】すばこだより「『おしまい』と言われたら」他


紫陽花が大輪の花を咲かせる季節となりました。長雨が続き肌寒い日も多いですが、皆様体調など崩されていませんでしょうか。 早いもので、2016年も半分を過ぎました。今月も目標達成にむけて、皆様と一緒に頑張っていきたいと思います♪ 7月7日、 もうすぐ七夕ですね◎ みなさまのお願いごとはなんですか・・・?(^0^)

subaco switch

「『おしまい』と言われたら」

行動に移ることができません。いわゆる「切り替え」が苦手な児童です。
私たちは普段、無意識的に「こうなるはずだ。」という心理的な「構え」を持って生活をしており、この構えを 状況に応じて適切に変化させることで生活をしています。これが切り替えの正体です。

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Y君の切り替えの難しさを 確かめるために、トレーナーはウィスコンシン・カード・ソーティングテストというカードの仲間分けテストを行いました。このテストの特徴は、仲間分けのルールが途中で変更されることです。Y君は仲間分けのルールが変わっても、それまでと同じルールでカードを出し続けてしまう様子が見られました。Y君がうまく切り替えができるようになるために、トレーナーは人間の行動の調整を司る実行機能と呼ばれる脳の認知システムに着目しました。実行機能をうまく働かせるためには、「やりたい!」と思えるような自己活性が必要です。自己活性が働く環境の中で、切り替えに必要な行動調整スキル(自己調整)を獲得できるのです。

トレーナーはY君の自己調整の獲得のために、「おしまいと言われた時に、すぐにビーズ集めを止めることができたらラムネ3個」という自己活性を用意しました。最初Y君は、おしまいと言われた時に「えー!」と声に出して、なかなか終わりにすることができませんでした。しかし、Y君はラムネ3個を目標にして、だんだん終わりにする時間が早くなってきたのです。

この取り組みで大切なのは、「目的のために自分の行動や感情を調整する。」という経験をしてもらうことです。将来的には、おしまいと言われなくても、Y君が自分から終わりにしようと自己決定できることが目標となります。1歩ずつ確実に、目標に向かって頑張ろうね!Y君!(重松)

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「お昼の放送は僕にまかせて!」

Rくんは放送委員で、給食の時間に音楽を流して曲名、歌手を紹介する係りをしています。そんなRくんですが、音読には少し苦手があります。指を使って文字を追っているのですが、読み間違いをしてしまいます。例えば、「〜でした」を「〜です」、「ピックアップ」を「ピ、ピク‥」などです。  トレーナーは、文字を音に変換する過程に難しさがあるのではないかと考えました。そこで、構音検査、平仮名1文字の音読検査、実在する言葉としない言葉の音読検査を行いました。すると、実在する言葉はすぐに読めたのですが、実在しない言葉では読み間違えたり、時間がかかったりする様子がありました。このことから、Rくんは文字を音に対応させるための音韻照合に苦手があることが分かりました。

音韻照合とは、平仮名「あ」を見て[ a ]の音に変換出来るように、文字と音との対応を規則に基づき変換することです。Rくんは、前述したように「〜でした」を「〜です」と読み間違えてしまう様子があります。これは、「で / し / た」を1音ずつ捉える前に、語彙に照合し「で」から「です」を連想し変換してしまうためでした。音読には語彙に照合する事も大切なのですが、正しく読む為には音韻照合が重要です。

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Rくんが音韻照合を用いられるようにトレーナーが考えたレッスンは、ランダムに並んだ平仮名を枠で隠しながら1文字ずつ読んでいくというものです。音韻認識を高めるレッスンです。初めはぎこちなく詰まりながら読んでいたRくんですが、レッスンを繰り返すうちに、今では清音の並びは間違えず滑らかに読めるようになりました。1文字ずつの音を意識して読むことが大切なのです。

現在は、撥音、拗音にはまだ苦手があるものの、絵本の音読をお願いすると、「今から読むから聞いといてな!」と自信を持って音読をしてくれます。

毎日変わる曲名や歌手も正しく読み上げて、自信を持って放送できるように、一緒に頑張ろうね、Rくん!(喜多村)

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《ご報告とお願い》

先日、「subaco 本店」があるバッハビルの正面入り口で、児童と自転車が出会い頭に衝突する事故がありました。スピードを出して坂道を下ってくる自転車が多いため、以前より警察に相談を行なって見回り等していただいておりましたが、今回の事故を防ぐことができませんでした。このような事故が再び起こらないよう、現在、大阪市建設局に報告し今後の対策についての要請を行って おります。また、ビルの入り口に注意喚起を促す貼り紙をすることや裏口からの出入りをご案内するなど 事故防止に努めております。子どもたちの安全を守るためにも、お子様と安全確認を行なって頂くよう お願い致します。

かっこよくスプーンを持ちたいな!

皆さんはスプーンをどのように持って使いますか?保育園に通うSくんは、スプーンで食事をすることが少し苦手な男の子です。最近、周りの お友達が、大人のように3指(母指・示指・中指)でスプーンを持てるようになってきて、僕もお友達に負けたくない、食事を食べるときのスプーンをかっこよく持ちたい!という思いが芽生えてきました!Sくんがみんなと同じようにかっこいいスプーンの 持ち方が出来るようになるにはどうすれば良いのでしょうか?

まず、Sくんが実際にスプーンを持っている様子を観察してみました。Sくんは手のひらを下にして、グー握りにより把持をしていました。次に、Sくんの手指の動きの発達を見るために、指折りや、指で丸を作る 検査を行ないました。すると、Sくんはそれぞれの指を分離して動かすことに少し難しさがあることが分かりました。スプーンを把持する上での手指の運動の発達は、①手のひらを下に向けた状態のグー握りから、 ②手のひらを天井に向けたグー握りが出来るようになり、次第に尺側2指(小指と環指)の安定性が発達していくことで、③3指(母指・示指・中指)で把持出来るようになります。そしてその持ち方がお箸の持ち方に繋がります。

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なんとしても、Sくんにスプーンをかっこよく持つことが出来るようになってほしいと思い、私が用意した物が「クリップ」です!スプーンの柄に、上の写真のようにくっつけることで、小指側が安定して、手のアーチ (ボールを掴んでいるような丸み)が作りやすくなります。実際にもって見ると分かるのですが、何もない 状態とくらべて、3指での把持がしやすくなります。

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実際にそのスプーンをSくんに持ってもらいました。初めに3指での持ち方を伝えると、綺麗に把持する事ができました。何度かクリップ付きのスプーンでの操作を繰り返していくうちに、“ぼくもかっこいい持ち方が出来るんだ”という自信がついてきて、最近では、クリップ無しでもかっこよくスプーンを持てるように なってきています。次はかっこよくお箸を持てるようになる事が目標だね!(松野)

《おしらせ》

来月のsubaco holiday も毎週土曜日の開催となります。楽しいプログラム盛りだくさんでお待ちしています!みなさま、ぜひお越しください★

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「subaco deliver school 2016」

今年もsubaco trainingのメンバーによる訪問授業を大阪医専で実施させて頂ける事になりました! 理学療法士を目指して勉強されている学生さん達の『障がいを持つ方とどのように接したら良いのかわからない』というお悩みに対して、昨年度はHさん達が自分の主訴や生活の様子を伝えるために動画を作り、自己紹介文を発表しました。今年度は新たに3名のメンバーが訪問授業に参加し6名で行います。

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それぞれの利用者さまが これまでの生活歴、趣味や得意な事など色々なテーマに沿って発表が出来るように資料を作成し練習をしています。また、スーツを初めて着用するというNさんは、今回の参加に向けて自分の身丈に合わせてオーダーメイドした そうです。ピシッと正装した講師陣の活躍に注目です。(中井)