【2016年8月号】すばこだより「ガマンってしってるよ!」他
まだまだ厳しい夏の暑さが残る毎日ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか…?今年のお盆は各事業所、外出企画があったり、おまつりがあったり、とっても賑やかなスバコでした。楽しかった夏休みももうすぐおしまい。秋がやってきます。季節の変わり目で体調を崩しやすい時期ですので、みなさま気をつけてお過ごしくださいね。
subaco switch
「ガマンってしってるよ!」
K君は4歳になったばかりの男の子です。チャンバラごっこや、ボクシングなど身体を動かす遊びが 大好きで、いつも元気いっぱいにswitchの活動に取り組んでいます。 そんなK君ですが、座って待つ事が苦手です。座っていてもすぐに立ち上がってしまい座り続けることができません。そこで、トレーナーはK君に「ガマン」という言葉を教えることにしました。これは、言葉が持つ「行動調整機能」という働きで座っていられるようにする取り組みです。この行動調整機能について、心理学者であるルリヤが「ランプ押し実験」という課題を行っています。これは、子どもの目の前に置いたランプが点灯したらゴムのバルブを押すという課題なのですが、大人が押せと声をかけたり、押せと子ども自身に言わせたり、赤のランプが点いたら押す、緑のランプが点いたら押さないなど、さまざまなパターンで課題を行いました。この課題の結果、3~4歳の子どもは、 自分で自分に「押せ」と命令を出すと上手くできないのですが、他者(大人)が「押せ」と命令するとそれに併せて行動できる、ということがわかりました。
4歳のK君には、自分で自分に言い聞かせることはまだ難しそうです。それならと、トレーナーはガマンという言葉を知ってもらい、他者(大人)のガマンという言葉で行動調整機能が働くようにすれば良いと考えたのです。

K君が順番を待ちきれなくなったときや、立ち上がってしまいそうになったときに「ガマンだよ!」と声をかけて、立ち上がりたいときにガマンすることを教えます。様々な場面でガマンってこうするんだよと、ガマンという言葉に対しての認知を高めていくのです。
現在K君はトレーナーの「ガマン」という言葉を用いて行動調整ができるようになり、座っていられる時間も少しずつ伸びてきました。今はまだトレーナーに「ガマン」と声をかけられながらですが、いつか自分の言葉で行先を決められるように、頑張れK君!(重松)
subaco training
「障がい者居宅介護従事者基礎研修!」
今年は夏バテしそうな暑い日が続いていますがトレーニングのメンバーさんは毎日元気に来所しています!この夏は観葉植物の栽培と金魚の飼育を行う「スバコガーデン」の管理を始め、パラリンピックの正式種目でもある障がい者スポーツ「ボッチャ」の練習など 初体験が盛り沢山です。そんな生活介護では今年も福祉の資格を取得出来るスクールを開講するため準備を進めています。昨年開講したのは「重度訪問介護従業者養成研修」という重度の心身障がい者のための訪問介護資格の研修でした。受講生の中には資格を取得後、 ヘルパーとしてHさんの支援を行っている方もいます。今年は「障がい者居宅介護従事者基礎研修」という居宅介護専用の研修を実施します。この資格は介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)のように、高齢者の介護に従事することは出来ませんが、演習や実習を含め52時間という短期間で資格を取得出来る事が魅力となっています。また、身体・知的・精神の障がい(児)者の事例など障がいについてより深く学ぶ事が出来ることもポイントです。今回はスタッフやメンバーさんだけではなく、外部からも講師をお招きして研修を進める予定となっております。
今年も沢山のメンバーが研修に参加して受講生と過ごす約2ヶ月間を充実した時間にしていきたいと思います。(中井)
トレーニングの新メンバー★&昨年の研修の様子です!

subaco kids
〜体を動かすって楽しいな!〜
Jくんは、活発で元気いっぱい、走ることが大好きな6歳の男の子です。しかし、Jくんは全身を使った活動が苦手で、お友達がジャングルジム等で遊んでいても、なかなか参加出来ずにいます。小学校に上がると、縄跳びやマット運動など様々な運動をしますが、まずは、運動の基礎となる体幹の 発達を促すため、マット運動の前転を出来るかどうかを観察してみました。

実際に前転をしてもらうと、姿勢が左右へ崩れ、ドテッ!と倒れてしまいました。前転をするためには、回り始めに手で身体を支える必要があります。しかし、Jくんをよーく観察すると、初めはマットに手掌をつけていましたが、回り始める前に手掌がマットから離れてしまっていました。なぜ手で 身体を支えられないのか、固有受容覚(自分の身体がどう動いているのかを感じる感覚)の検査を行ったところ、Jくんは、自分の腕や手が今どう動いているのかを目で見ておかないと分かりにくい様子でした。
ただ、目で見ておかないと分からないということは、逆に言うと目で見れば補えるということでもあります。そこでトレーナーは、「視覚情報によるフィードバック」という形で、固有受容覚を補いかつ養うレッスンを考案しました。名付けて「声かけ作戦」です!!前転の途中でJくんの手掌がマットから離れると、即座にトレーナーが「あっ!」と指を差しながら声かけをします。その声かけを聴いたJくんは、“マットから離れないように!”と自分の手掌がマットについていることを見て確認しながら回りきります。
このレッスンを通して他の感覚情報から力の調節、身体の使い方について運動学習を行い、Jくんは少しずつ手掌をつけた状態で前転をすることが出来るようになり、まっすぐに回ることが出来るようにもなってきています。少しずつ出来るという自信がついてきたのか、最近は「お家でもでんぐり返ししてん!」「この前竹馬乗ってん!」と、楽しそうに話してくれるようになりました。この調子で、綺麗に前転が出来るように、一緒に頑張ろうJくん!!(松野 )
《おしらせ》
9月のsubaco holiday は第2・4土曜日の開催となります。楽しいプログラム盛りだくさんでお待ちしています!ぜひご利用くださいね◎
subaco study
「漢字の不思議発見!」
Yくんは中学1年生の男の子です。お話作りが得意で、桃太郎のサイドストーリーを書いて持ってきてくれたこともあります。とっても面白いお話でしたが、もったいないことに漢字に誤字が目立っていました。これは、漢字書字に難しさがあるのではないかと思い、Yくんが学校で昨年受けた漢字 検定9級にスバコでも挑戦してもらいました。すると、読みは「簡単やし!」とすぐに答えてくれたのですが、いざ書こうとすると、「こんなんやったような…」と少し不安そうです。「白」が「百」になったり「強」の右側が「䖝」になったりなど、あと少し!という様子が見られました。
Yくんは、漢字検定9級の中でも画数が多い漢字ほど間違えやすいという特徴がありました。トレーナーは、1画ずつがどのように組み合わさって いるのか見ることに苦手があるのではないかと考え、レイ複雑図形検査、図形の弁別検査を行いました。すると、線が何本あるのか、どのような傾きで交差しているかを読み取ることに難しさがありました。これは形態認知という見えているものの形を正しく読み取る力によるもので、一般的な視力検査で測れる視力とは異なる視機能の1つです。

そこでトレーナーとYくんは漢字を分解するレッスン『漢字分解調査』に挑みました。すると、漢字は線や点の組み合わせで作られており、それぞれが独特の形をしたパーツで出来ているわけではないことが分かりました。漢字をパーツに分解すると、偏やつくりの他に、既習漢字や面白い形のパーツが見つかります。
Yくんは、カラフルな粘土やモールで色分けして作り、どのようなパーツで出来ているか分解調査しました。「首」を作ってみると、鍋フタのような形の下からは「自ぶん」を発見しました。また、「強」は「弓」「ム」「虫」、すべて知っているパーツで出来ていたのです!「えっ、なんか虫おるし!」と、Yくんもびっくりです。正しく書ける漢字が増え、今年学校で受けた漢字検定9級の試験でも昨年よりも ぐっと点数が上がりました。なんとあと2点で9級合格です!
分解調査で漢字の秘密がだんだん明らかになってきたね。次はどんな漢字の秘密が見つかるかな? Yくん、次も面白い発見の調査報告をお願いします!(喜多村)